日本大百科全書(ニッポニカ) 「シーザーとクレオパトラ」の意味・わかりやすい解説
シーザーとクレオパトラ
しーざーとくれおぱとら
Caesar and Cleopatra
イギリスの劇作家バーナード・ショーの五幕史劇。1898年作、1901年初演。紀元前48年のエジプトが舞台で、スフィンクスの胸中に眠る16歳のおてんば娘(クレオパトラ)と、偶然その前に立った老紳士(シーザー)との会話から始まる。ショーは「現代古典俳優のための偉大な古典テーマ」というが、喜劇的タッチでロマンスの皮をはぎ、通説の英雄の幻想を破ったものである。この劇のシーザーは現実主義に徹した、独創的な力のある男で、『運命の人』のナポレオンと同じくショー流の英雄で、政治と人生を教え込んで小娘の女王を成長させ、エジプトを去る。1945年映画化。
[菅 泰男]
『山本修二訳『シーザーとクレオパトラ』(岩波文庫)』