ジチゾン(読み)じちぞん(英語表記)dithizon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジチゾン」の意味・わかりやすい解説

ジチゾン
じちぞん
dithizon

有機試薬の代表的なものの一つ。正しくはジフェニルチオカルバゾンという。黒紫色の結晶性粉末。水やエタノールエチルアルコール)にはほとんど溶けないが、四塩化炭素、クロロホルムなどにはよく溶ける。ケト形の構造式を示す。カドミウム、銀、水銀、銅、亜鉛、鉛などの重金属イオンと反応して、水に溶けにくいキレート錯体の着色沈殿黄褐色赤色、紫色など)をつくるので、重金属イオンの検出分離に用いられる。また沈殿はクロロホルムに溶けるので、比色定量に利用することができる。この種の試薬のうち、もっともよく研究されている。

[務台 潔]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジチゾン」の意味・わかりやすい解説

ジチゾン
dithizone

ジフェニルチオカルバゾン C6H5-N=N-CS-NH-NH-C6H5別称。青黒色結晶性粉末。ビスマス,カドミウム,銅,鉛,亜鉛,水銀などの抽出比色試薬でクロロホルム溶液として用いることが多い。

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