ジフコフ(読み)じふこふ(英語表記)Todor Zhivkov

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジフコフ」の意味・わかりやすい解説

ジフコフ
じふこふ
Todor Zhivkov
(1911―1998)

ブルガリアの政治家。ソフィア近郊の農村出身。印刷工となり、1932年に共産党に加入、1939年に党専従となる。第二次世界大戦中ソフィア地区パルチザン旅団長になり、1944年の反枢軸クーデターを実行した。1948年ソフィア市党第一書記に就任。1949年「パルチザン派」のコストフがチトー主義者として処刑され、1950年に「モスクワ帰り」のチェルベンコフ権力を握ったが、ジフコフは彼に買われて同年党書記、1951年に政治局員に昇進した。1953年チェルベンコフは首相に専念し、党第一書記(1981年から書記長と改称)をジフコフに譲った。1956年スターリン批判がなされると、自国でもチェルベンコフ批判を行って自己の権力を固めた。1971年に国家評議会議長(元首)に就任し、独裁体制を固め、旧ソ連に忠実な路線を取り続けた。1989年11月民主化により書記長と国家評議会議長を退任した。

木戸 蓊]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジフコフ」の意味・わかりやすい解説

ジフコフ
Zhivkov, Todor Khristov

[生]1911.9.7. ブルガリア,ソフィア郊外プラベツ
[没]1998.8.5. ブルガリア,ソフィア
ブルガリアの政治家。 1929年にソフィアの国営印刷工場の見習いとなり,共産主義青年同盟で活動を開始。 32年共産党に入り,2年後に党地区委員会書記に就任。第2次世界大戦にはソフィア近郊でパルチザン部隊の結成に従事,44年9月の祖国戦線クーデターに重要な軍事的役割を演じた。 45年党中央委員候補,48年中央委員となり,ソフィア市党第一書記として「チトー主義者」攻撃を進め,51年党政治局員に昇進。 I.スターリンの死後党と政府の機能分離が行われた結果,54年に V.チェルベンコフから党第一書記の地位を受継ぎ,N.フルシチョフの忠実な信奉者として,やがてはチェルベンコフ批判を展開した。 62~71年首相。フルシチョフ解任半年後の 65年に発生した党内危機を乗切り,バルカンではただ一国ソ連との全面協力路線を固めた。 71年国家評議会議長 (元首) 。 81年党書記長,89年議長および書記長を辞任,党を除名される。 90年書記長時代のトルコ系少数民族への差別職権乱用,国家資産流用などの罪で逮捕,起訴され,92年懲役刑を受けたが,上訴し 96年無罪となった。

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百科事典マイペディア 「ジフコフ」の意味・わかりやすい解説

ジフコフ

ブルガリアの政治家。ソフィア県の貧農の家庭に生れる。1932年にブルガリア共産党入党,1954年には党第一書記(1981年に党書記長と改称)となる。1962年から1971年までブルガリアの首相を兼任し,1971年には国家評議会議長(元首)に就任した。重工業化を進め,ソ連追従政策をとるとともに,有力後継者の左遷や身内・側近の昇進などを断行して,長期にわたって党および国家を支配した。しかし,1980年代の経済の停滞やトルコ系住民に対する人権抑圧政策などに批判が集中し,東欧諸国における〈東欧革命〉の中,1989年に党書記長と元首を辞任させられ,党からも除名された。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ジフコフ」の解説

ジフコフ
Todor Hristov Živkov

1911~98

ブルガリアの政治家。1932年共産党入党。第二次世界大戦期にソフィア周辺のパルチザン部隊結成に努める。48年党中央委員,51年党政治局員,54年第一書記となる。スターリン批判とともに実権を掌握し,フルシチョフ解任後の党内危機も乗り切り,71年国家評議会議長(国家元首)に就任した(在任1971~89)。長期政権下で重工業化を推進。80年代,トルコ系住民への人権抑圧政策が国際的非難を浴びた。東欧革命とともに89年11月党書記長,国家評議会議長を辞任(失脚)し党から除名された。

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