改訂新版 世界大百科事典 「ジョリベ」の意味・わかりやすい解説
ジョリベ
André Jolivet
生没年:1905-74
フランスの作曲家。メシアンらと作曲グループ〈ジュヌ・フランス〉を結成(1936)した一人。P.ル・フランとE.バレーズに作曲を学ぶ。彼は肉体と魂(音素材と精神)の間に,そして作品と聴衆との間に不可欠なこととして〈伝達〉ということを重んじた。さらに表現手段の更新をはかって,非ヨーロッパ音楽に関心を向けたり,高次倍音現象に注目し調性概念の拡大を企てたり,伝統的なリズムとディナーミクの克服を試みたりしたのも,伝達を活性化するためだったといえる。音楽・音響に呪術的な力を回復させようとしたピアノ組曲《マナ》,フルート曲《五つの呪文》,管弦楽曲《五つの祭りの踊り》などの原始主義的な時期(1935-39),より静朗で人間的な《兵士の嘆きの歌》《典礼組曲》などの内省の時期(第2次世界大戦中),戦後の,《オンド・マルトノ協奏曲》やピアノその他の楽器のための諸協奏曲がとりわけ際だつ総合の時期,以上の進展の3時期を,彼の創作に見ることができる。1959年に来日。
執筆者:平島 正郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報