改訂新版 世界大百科事典 「スズメノチャヒキ」の意味・わかりやすい解説
スズメノチャヒキ
Japanese chess
Bromus japonicus Thunb.
日当りのよい草地,畑地,荒地に生えるイネ科の一年草で,多くは群をなして生える。茎は単一またはやや叢生(そうせい)し,普通やや斜上した基部から立ち上がり,茎はわら状で,高さは50~70cmである。葉は線形で軟らかく,長さ20cmほど,幅は5mmくらいで,葉鞘(ようしよう)とともに長く軟らかい開出毛がある。初夏から夏にかけて,茎の頂に長さ15~25cmの円錐花序を出す。花序は外形は卵形で,先は多少傾き,数節があり,各節に4~6本の糸状の枝を輪生し,枝の先に1ないし少数個のやや大型の小穂をつける。小穂は長さ1.5~2.5cm,幅6mm強の長楕円形で,淡緑色,6~10個の小花がある。花穎(かえい)はやや大型で9本の脈があり,先端はやや下方から長い芒(のぎ)が出ている。和名は雀の茶挽きの意味で,茶挽き草はカモジグサのことをさし,小型のカモジグサを意味している。日本全土に見られ,ユーラシア大陸の温帯に広く分布する。アメリカ合衆国とカナダの南部に広く帰化している。日本から初めて記載された植物であるが,日本の原産か否か疑わしい。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報