ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スタビスキー事件」の意味・わかりやすい解説
スタビスキー事件
スタビスキーじけん
L'affaire Stavisky; Stavisky Affair
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1930年代にフランスの第三共和政を揺さぶる政治的激動の口火を切った詐欺事件。ロシア生まれのユダヤ系帰化人スタビスキーSerge Alexandre Stavisky(1886―1934)はパリの暗黒街に出没する詐欺常習犯であったが、1931年南フランスのバイヨンヌ市の公設質屋を舞台に不良債券を発行して巨利を得た。33年末に不正が発覚しスタビスキーは逃亡したが、翌年1月8日シャモニーの山荘で死体で発見された。事件はありふれた詐欺事件であったが、バイヨンヌ市長兼代議士ガラ、ショータン内閣の植民地相ダリミエら与党急進社会党の政治家が事件に巻き込まれていたこと、スタビスキーの死因を自殺とする警察発表への疑惑などにより、右翼の反政府宣伝に絶好の口実を与え、一大疑獄事件にまで発展した。極右諸団体による連日の街頭デモにショータン内閣はついに総辞職したが、さらに次のダラディエ内閣の不手際も加わり、34年2月6日夜、死者十数名を出す右翼騒擾(そうじょう)事件を起こした。こうして事件は、30年代の経済不況と政治不安を背景に第三共和政を揺さぶるいくつかの事件の連鎖を生んだ。
[平瀬徹也]
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