でも(読み)デモ

デジタル大辞泉 「でも」の意味・読み・例文・類語

で‐も[接]

[接]《「それでも」の略》
前の事柄を一応肯定しながら、それがふつう結果として予想されるものに反する内容を導くときに用いる語。にもかかわらず。それでも。しかし。「がんばった。でも負けた」「その時は風邪ぎみだった。でも私は休まなかった」
前述の事柄に対して、その弁解・反論などをするときに用いる語。しかし。「試験に落ちました。でも、勉強はしたんですよ」
[類語]けれどもだがところがしかしけれどそれでもしかしながら然るにだけどだけれどもだってされど然れどももっともさりとてそれなのにそのくせ言い条かと言ってとは言えとは言うもののにもかかわらず

でも[接助・係助]

[接助]接続助詞「ても」が、ガ・ナ・バ・マ行の五段活用動詞に付く場合の形》「ても」に同じ。「死んでも死にきれない」「いくら呼んでも返事がない」
[係助]《断定の助動詞「だ」の連用形係助詞「も」から》名詞または名詞に準じる語、助詞に付く。
物事の一部分を挙げて、他の場合はまして、ということを類推させる意を表す。…でさえ。「子供でもできる」「昼前でも気温が三〇度ある」
特別のもののようにみえる事柄が、他の一般の場合と同じであるという意を表す。たとえ…であっても。「強いといわれている人でも病気には勝てない」「今からでもがんばろう」
物事をはっきりと言わず、一例として挙げる意を表す。「けがでもしたら大変だ」「兄にでも相談するか」
(不特定をさす語「なに(なん)」「だれ」「いつ」「どこ」などに付いて)すべてのものにあてはまる意を表す。「なんでも食べるよ」「だれでも知っている」
[類語](3などとかなんかなんてなんぞなぞ

でも[接頭]

[接頭]職業・身分などを表す語に付く。
名ばかりで実質がそれに伴わない意を表す。「でも学者」「でも紳士」
ほかに能力がないので、やむをえずその職に就いているという意を表す。「でも先生」
[補説]1は「あれでも学者か」などという場合の「あれでも」の略。2は「先生にでもなるか」という場合の「…にでもなるか」というところから出たといわれる。

で‐も[連語]

[連語]
格助詞「で」+係助詞「も」》…においても。「これはあの店でも売っている」
《打消しの接続助詞「で」+係助詞「も」。動詞の未然形に付く》…なくても。「言わでものこと」

デモ

デモンストレーション」の略。「反戦デモ」「デモ隊」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「でも」の意味・読み・例文・類語

で‐も

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] 打消の意を含む接続助詞「で」に、係助詞「も」の付いたもの。動詞の未然形に付く。…なくても。また、「言わでものこと」のように、「でも」のあとに「あるべきこと」「よいこと」などを略して、「言わなくてもよいこと」の意を表わすことがある。
      1. [初出の実例]「霜のいとしろきも、またさらでもいと寒きに」(出典:枕草子(10C終)一)
    2. [ 二 ] 断定の助動詞の連用形「で」に、係助詞「も」の付いたもの。…であっても。
      1. [初出の実例]「なに事でもおぼしめさん御事をばうけ給はって申せ」(出典:平家物語(13C前)一〇)
    3. [ 三 ] 格助詞「で」に、係助詞「も」の付いたもの。…においても。
      1. [初出の実例]「弓矢とりはいささかの所でも思ひでの詞をば、かねてつがひおくべきで候ける物かな」(出典:平家物語(13C前)七)
      2. 「売り買い高い世の中でも、金とたわけは沢山なと」(出典:浄瑠璃・心中天の網島(1720)中)
  2. [ 2 ] 〘 接続詞 〙 ( 「それでも」の略 ) 前の事柄に対し、後の事柄が反対・対立の関係にあることを示す。また、相手のことばを受けて、不満を示したり反論したりする時に用いる。だけど。
    1. [初出の実例]「『気を短くせずと、もちゐと、ゐなんし』『でもあまり、おもしろないぞ』」(出典:洒落本・遊子方言(1770)更の体)
    2. 「多くもない貯叢(たくはへ)をゲッソリ遣ひ減らして、今は残り少なになる。デモ母親は男勝り気丈者」(出典浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
  3. [ 3 ] 〘 副詞助 〙 ( [ 一 ]が一語化したものという ) 体言あるいは体言と同資格の語、体言に「が」「を」以外の格助詞の付いたもの、接続助詞「て」などをうける。
    1. (イ) 特にそれと限定するのではなく、一例として挙げる。…か何か。→補注( 2 )
      1. [初出の実例]「ざうたんに申いって、おちゃでも申さいで、おのこりおほい」(出典:虎明本狂言・餠酒(室町末‐近世初))
      2. 「『ねなすんな』『おきてすわってでもいやしゃう』」(出典:洒落本・娼註銚子戯語(1780))
    2. (ロ) ( 「なに」「だれ」「いつ」「どこ」などの語について ) すべての場合を肯定することを表わす。「なんでも食べられます」「だれでもいい」「どこへでも行く」など。なお、「なぜでも」「どうしてでも」は、理由を問われて答えを拒否するのについて用いる。
    3. (ハ) ( 軽重優劣いずれの方向にも ) 極端な場合を提示し、他の場合は勿論である、の意を言外に表わす。…でさえ。
      1. [初出の実例]「世に出なば百両でもださふ程に」(出典:歌舞伎・傾城暁の鐘(徳川文芸類聚所収)(1708)中)
      2. 「奥の間の最も煙に遠いところでも、〈略〉板の木目も判らぬ程黒い」(出典:野菊の墓(1906)〈伊藤左千夫〉)
  4. [ 4 ] 〘 接頭語 〙 ( 「あれでも」の意からという ) 職業や身分などを表わす語に付き、未熟なもの、信頼できないもの、無価値なものの意を表わす。「でも医者」「でも客」「でも坊主」など。
    1. [初出の実例]「泥棒でもさして見様と云ふのでデモ泥棒と云ふので御坐います」(出典:落語・閉込み(1897)〈三代目柳家小さん〉)

でもの補助注記

( 1 )[ 一 ]用法で、[ 二 ][ 三 ]との境界は必ずしも明らかにはし難い。
( 2 )[ 三 ](イ)の用法で、特にどれと指定しないで、漠然と例示する場合には、必然的に軽いものが提示されることが多く、自然と価値の低いものという感じを伴う。


デモ

  1. 〘 名詞 〙 ( 「デモンストレーション」の略 )
  2. デモンストレーション〔アルス新語辞典(1930)〕
    1. [初出の実例]「きのふ、ここで学生運動のデモがあってね」(出典:冬の宿(1936)〈阿部知二〉二)
  3. デモンストレーション「新商品のデモを行なう」

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百科事典マイペディア 「でも」の意味・わかりやすい解説

デモ

デモンストレーションの略。労働者農民市民がその要求や主張を世論に訴え,政府その他相手方に対して要求貫徹,抗議意思表現のため行う集団示威行動。日本では各地の公安条例がきびしくこれを規制しており,そのため憲法第21条の表現の自由の保障に抵触するか否かに問題がある。
→関連項目香港民主化運動

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改訂新版 世界大百科事典 「でも」の意味・わかりやすい解説

デモ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「でも」の意味・わかりやすい解説

デモ
でも

デモンストレーション

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世界大百科事典(旧版)内のでもの言及

【集会の自由】より

…アメリカ憲法の強い影響を受けた日本国憲法は英米型であり,その21条1項で〈集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由〉としてこれを保障した。なお,デモンストレーションいわゆるデモも,動く集会と考えられ,表現の自由の保護を受ける。 明治維新以後の日本では,とくに自由民権運動の活動が集会条例などで厳しく抑圧され,また,明治憲法29条にいう集会の自由も〈法律ノ範囲内〉に限定され,治安警察法は,集会や集団行動の開催,参加者,内容上の制約などを詳細に規定していた。…

【デモンストレーション】より

…力のあること,用意のあること,支持勢力のあることなどを集団的に示すことによって,その対象に心理的圧力を加えること。一般に〈デモ〉ともいわれる。今日,デモという用語は,政府や経営者に対して要求をもつ国民や労働者による示威行進paradeの意で用いられることが多い。…

※「でも」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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