改訂新版 世界大百科事典 「スタペリア」の意味・わかりやすい解説
スタペリア
carrion flower
starfish flower
Stapelia
ガガイモ科の小型多肉植物の1属で約100種あり,おもにアフリカの南部から東部,少数はインドの乾燥地に分布する。群生し,茎は4稜の柱状で,とげはない。葉は退化し,早落性の小さい三角形で稜に沿った突起上につく。花は特異な形態と機構をもち,外観はヒトデに似る。花弁は下部が合着した星形で,多くの種は縁辺に短毛を生じ,中部が輪状に盛り上がり,黄・茶・橙色の縞がある。花の構造は複雑で,副花冠(内花冠)が発達し,めしべに見える突起(内角)がある。真のめしべとおしべは副花冠の内部に隠され,花の腐肉臭によって誘引されたニクバエが産みつけたウジが,副花冠をくい破って侵入し,動き回っている間に花粉塊を柱頭につけ,受精させる。代表種には南アフリカ産のギュウカク(牛角)S.variegata L.,スタペリア属中最大の径25~35cmの花を咲かせるオウサイカク(王犀角)S.gigantea N.E.Br.がある。栽培は多湿と低温を避け,排水のよい土に植える。
執筆者:湯浅 浩史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報