共同通信ニュース用語解説 「ステランティス」の解説
ステランティス
欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とフランス大手グループPSAが今年1月に経営統合して誕生した自動車グループ。傘下にフィアットやジープ、プジョーといった有力ブランドを多数抱えている。PSA出身のカルロス・タバレス氏が最高経営責任者(CEO)を務めている。(共同)
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欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とフランス大手グループPSAが今年1月に経営統合して誕生した自動車グループ。傘下にフィアットやジープ、プジョーといった有力ブランドを多数抱えている。PSA出身のカルロス・タバレス氏が最高経営責任者(CEO)を務めている。(共同)
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新車販売台数で世界4位の自動車会社グループ。欧米系のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とフランスのグループPSA(旧、PSAプジョー・シトロエン)が経営統合し、2021年に発足した。ステランティスは「星の光で輝く」という意味のラテン語stelloから命名した。イタリアのフィアット(1899年設立)、アメリカのクライスラー(1925年設立)、フランスのプジョー(1889年に自動車生産開始)とシトロエン(1919年設立)など老舗(しにせ)自動車会社を傘下にもつ持株会社で、30以上の国・地域に事業拠点をもち、世界130か国以上で販売している。アバルト、アルファ・ロメオ、クライスラー、シトロエン、ダッジ、DS、フィアット、ジープ、オペル、プジョー、ラム・トラックス、ランチア、マセラーティ、ボクスホールといった大衆車から高級車、商用車まで14の車種ブランドをもつ。ユーロネクスト・パリ、イタリア証券取引所、ニューヨーク証券取引所に上場。
グループPSAはプジョーが1976年に、石油危機で経営難に陥ったシトロエンを傘下に収め、PSAプジョー・シトロエン(2016年、グループPSAに社名変更)として誕生した。2014年に中国の東風汽車の出資をうけ、2017年にはドイツのオペルを買収した。一方、フィアット・クライスラー・オートモービルズは2014年、フィアットがリーマン・ショックで経営破綻(はたん)したクライスラーを傘下に収めて発足した。世界の自動車会社は地球温暖化対策や自動運転など次世代技術開発のため巨額投資を迫られており、両社はこれに耐えられる経営規模とコスト削減を実現するため2021年に統合に踏み切った。ステランティスはヨーロッパと北米市場に強く、アジアや新興国市場の開拓が課題である。本社はオランダのアムステルダム。初代最高経営責任者(CEO)はグループPSAの経営を立て直したカルロス・タバレスCarlos Tavares(1958― )。大株主はフィアット創業家(アニェッリ家)が支配する投資会社エクソール(14.4%)、プジョー創業家(7.2%)、フランス政府(6.2%)、東風汽車(5.6%)。2019年の世界新車販売台数は両社合計789万台(グループPSA348万台、フィアット・クライスラー・オートモービルズ441万台)で、アメリカのゼネラル・モーターズ(GM)や韓国の現代自動車を上回る。合計売上高は1829億ユーロ(22兆3100億円)、従業員は約40万人。
[矢野 武 2021年7月16日]
ジョヴァンニ・アニェッリGiovanni Agnelli(1866―1945)らが1899年、イタリアのトリノで創業。社名は「トリノのイタリア自動車製造所Fabbrica Italiana Automobili Torino」の頭文字をとってFIATとした。「フィアット、陸に、海に、空に」の標語の下、自動車のほか、鉄道車両、船舶、航空機、新聞、金融、サッカークラブ経営などに事業を拡大した。ジョヴァンニの孫ジャンニGiovanni Carlo Francesco Agnelli(1921―2003)の社長就任以降、買収攻勢をかけ、フェラーリ(1969年)、ランチア(1969年)、アバルト(1971年)、アルファ・ロメオ(1986年)を傘下に収めた。だが石油ショック、労働争議、日本車攻勢などで2000年代前半まで厳しい経営状態が続いた。2005年以降、人気車の投入などで経営状況が改善し、2009年にクライスラー支援に乗り出して北米市場に進出し、2014年にFCAとなった。創業以来、アニェッリ家が大株主。
[矢野 武 2021年7月16日]
ゼネラル・モーターズ(GM)副社長などを務めたウォルター・クライスラーWalter Percy Chrysler(1875―1940)が1925年に創業。代表車種プリムス、上級車種デソート、ダッジ(1928年にダッジ・ブラザーズ買収)などのブランドをそろえ、振動抑制のフローティングマウント(1931年)や油圧式パワーステアリング(1951年)などの先進技術を相次いで導入し、GM、フォードと並ぶビッグ3の座を獲得した。しかし石油ショックや日本、ドイツなどの小型車攻勢で、大型車に依存したクライスラーは経営不安に陥った。1978年にフォード社長だったリー・アイアコッカLee Iacocca(1924―2019)が社長につき、「ジープ」ブランドをもつアメリカン・モーターズ(AMC)を買収するなど一時再建を果たしたが、1998年にドイツのダイムラー・ベンツの傘下に入りダイムラークライスラー・AGとなった。投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントに買収(2007年)された後、リーマン・ショックの影響で2009年に連邦倒産法適用を申請し、2014年にフィアット傘下に入った。
[矢野 武 2021年7月16日]
世界でもっとも長い歴史をもつ自動車メーカー。1810年、ジャン・ピエールJean Pierre Peugeot(1768―1852)とジャン・フレデリックJean frédéric Peugeot(1770―1822)のプジョー兄弟が、フランス東部モンベリアルに設立した製鉄・刃物工場に始まる。1882年にピエールの孫アルマン・プジョーArmand Peugeot(1849―1915)が自転車生産を始め、1889年に蒸気機関の三輪自動車を製作、1890年にはドイツのダイムラー社製ガソリンエンジンを搭載した四輪自動車を5台生産した。その後自社開発のエンジンを搭載、1905年には年間400台の量産車ベベを世に出した。1912年に史上初のモーター・スポーツ・イベントであるACFグランプリに参戦したプジョーは、世界初のDOHC(ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト)を用いた4バルブ・エンジンを搭載したレーシング・カーで優勝し、耐久レースのル・マンでも好成績を残した。1929年以来、「208」「308」など、現在まで残る伝統の0を挟む3桁(けた)数字のモデルの量産を始めた。
[矢野 武 2021年7月16日]
アンドレ・シトロエンAndré Gustave Citroën(1878―1935)が1919年、砲弾工場を自動車工場に転換して自動車生産を開始した。シトロエンは先見力のある技術者出身の企業家で、科学的管理法の導入をはじめ数々の経営革新を実現した。しかし「トラクシオン・アバン」(前輪駆動の意)の愛称で知られた画期的な設計思想の名車7および11シリーズの開発のため膨大な投資を行った同社は、世界恐慌で倒産。1934年、ミシュラン社の資本参加を得て再建し、ミシュラン傘下で生産が継続された。同じくシトロエンの代表車となるモデルTPV(後の2CV)が1935年に誕生する。TPVは軽量で簡単な構造のため経済性が高く、その奇抜なデザインから人気を集め、1987年まで生産され、同社の代名詞となったモデルである。1955年には7、11シリーズの後継車として、独創的なメカニズムと宇宙船と評されたデザインの上級車DSシリーズを発売、1974年以降に発表されたCXシリーズに継承された。
[矢野 武 2021年7月16日]
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