日本大百科全書(ニッポニカ) 「ステレオ投影」の意味・わかりやすい解説
ステレオ投影
すてれおとうえい
stereographic projection
平面(面構造)や直線(線構造)の三次元的方位を二次元で表示するためにくふうされた球面投影法の一種。地質学、鉱物学、地震学、岩盤工学などで用いられる。三次元を二次元(紙の上)に表現する方法であり、二次元の投影ネットから三次元の構造を思い浮かべて(イメージを構築して)理解する手法である。
地質学の分野では、野外でクリノメーターを使って測定された共役断層の二つの断層面から、最大主応力軸の方向を求めたり、地層を水平に戻したときの堆積構造が示す流れの向きを求める場合に使われる。
ウルフネットとシュミットネットの2種類がある。前者は投影された各点間の角度が正確に表示できるので、等角投影ともよばれる。後者は点の分布密度の定量的表示に適しており、等積投影ともよばれる。地図のランベルト正積方位図法にあたる。両者には、視点を天頂に置く下半球投影(したはんきゅうとうえい)と、逆の上半球投影(うえはんきゅうとうえい)とがある。
構造地質学、堆積学、地震学では下半球投影が使われることが多い。これは傾斜の向きが投影ネットの方位と同じになって、感覚的に理解しやすいからである。一方、岩石学、鉱物学では上半球投影が使われることが多い。これは投影ネットの上側つまり机の上に、水晶の結晶などを思い浮かべて見えるように投影できるからである。
[岩松 暉・村田明広]