スリューテル(読み)すりゅーてる(英語表記)Claus Sluter

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スリューテル」の意味・わかりやすい解説

スリューテル
Sluter, Claus

[生]1350頃.ハールレム
[没]1406.1.30. ディジョン
オランダの彫刻家。ゴシック末期の北ヨーロッパ最大の彫刻家。 1385年ディジョンにおもむきブルゴーニュ公フィリップ2世の宮廷彫刻家ジャン・ド・マルビルの工房に入り,89年師の死後その工房を受継ぎ首席彫刻家となる。 85年から 98年にかけてシャンモール修道院の礼拝堂正面入口の装飾従事,さらに 95年から傑作モーセの井戸』 (シャンモール修道院) の制作に取組んだ。これは白黒大理石を用い,6人の預言者を配した泉の群像で,徹底したリアリズムによって制作されている。このほか師の跡を受継ぎ,フィリップ王の墓廟 (1385,ディジョン美術館) の制作にもたずさわった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スリューテル」の意味・わかりやすい解説

スリューテル
すりゅーてる
Claus Sluter
(1340/60―1405/06)

フランスのディジョンで活躍したネーデルラントの彫刻家。ハーレムの出身と推定され、1380年ごろブリュッセルの石工組合のリストに初めてその名がみえる。85年3月1日以降ディジョンでブルゴーニュ公フィリップ2世(剛勇王)に仕え、その宮廷彫刻家となって同地に没した。代表作には、王家の墓所として建立されたシャンモールのカルトジオ会修道院における一連の制作があるが、なかでも中庭にある「モーセ井戸」(1395~1402)は、ゴルゴタの丘の生命の泉の理念をもつ表現として名高い。15世紀の新様式を先取する彼の作品は、フランス、ネーデルラント、フランドルの後期ゴシック彫刻の進展に多大な影響を与えた。

[野村太郎]

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