セツブンソウ(読み)せつぶんそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セツブンソウ」の意味・わかりやすい解説

セツブンソウ
せつぶんそう / 節分草
[学] Eranthis pinnatifida Maxim.
Shibateranthis pinnatifida (Maxim.) Satake et Okuyama

キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の多年草。早春植物で、初夏には地上部が枯れる。球状の塊茎がある。茎は高さ約10センチメートル。葉は3全裂し、長い柄がある。花は茎の先に一つずつ開き、径約2センチメートル。萼片(がくへん)は白色花弁状、花弁は小形で黄色、先が分岐してY字状の蜜腺(みつせん)となる。温帯の林縁や草原に生え、関東地方以西の本州に分布する。石灰岩地によく生える。名は、ほかの植物に先駆けて節分のころ開花することによる。セツブンソウ属は、ユーラシア大陸東部に本種を含めて7種が分布する小さな属である。Eranthis属のうち、セツブンソウだけを別の属とする説もある。

[門田裕一 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セツブンソウ」の意味・わかりやすい解説

セツブンソウ(節分草)
セツブンソウ
Eranthis pinnatifida

キンポウゲ科の小型の多年草。関東以西の本州に分布し,山の木陰に生える。地中に球状の塊茎があり,その頂部から茎や葉が伸び,下部からひげ根を出す。根出葉は5~10cmの細い葉柄があり,ほぼ五角形の葉身は3深裂し,側片はさらに2深裂したうえ,各裂片は羽状に切れ込んでいる。春,非常に早く,茎の頂部に深くいくつにも裂けた無柄の葉 (総包) がつき,さらにその上部に径 2cmの白花を1個つける。萼片は5枚あり白色の花弁状で大きく,花弁は黄色で小さくふたまたに分れて基部に蜜腺をつける。淡紫色の葯 (やく) をもった多数のおしべがある。心皮は1~5個。節分の頃開花するのでこの名がある。

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