セリエ(英語表記)Hans Selye

デジタル大辞泉 「セリエ」の意味・読み・例文・類語

セリエ(Hans Selye)

[1907~1982]カナダ生理病理学者オーストリアの生まれ。ストレス説を提唱した。

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改訂新版 世界大百科事典 「セリエ」の意味・わかりやすい解説

セリエ
Hans Selye
生没年:1907-82

カナダの医学者。オーストリアのウィーンで外科医の子として生まれ,1929年チェコスロバキアプラハにあるドイツ大学医学部を卒業した。31年アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学に留学,翌32年カナダのマックギル大学に転じ,生化学内分泌学の研究をつづけた。カナダに帰化し,45年からモントリオール大学の実験医学研究所長兼教授。1936年以降,汎適応症候群general adaptation syndromeという新しい概念を提唱して国際的に高く評価されたがこの中にストレスという言葉が用いられているので,これは一般に〈ストレス学説〉とよばれている。ストレスとは,外界から心身へいろいろな傷害や刺激が加えられると,体内に種々の非特異的な生物反応が起こることをいい,その機序として脳下垂体-副腎系のホルモン分泌が深く関与すると説く。本学説により,原因が異なっても同じ機序が体内に起こり,ストレッサー(ストレスの原因となる刺激)に対する適応異常で病変が発生すると主張され,病因論に新しい見解が提起された。代表的著作に《ストレスStress》(1950),《生活のストレスThe Stress of Life》(1956)などがある。
ストレス
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セリエ」の意味・わかりやすい解説

セリエ
せりえ
Hans Selye
(1907―1982)

カナダの内分泌学者。オーストリア生まれで、プラハのドイツ大学出身の医師である。若くしてアメリカに渡り、ジョンズ・ホプキンズ大学で研究生活に入り、のちカナダのマックギル大学に移り、1936年ストレス学説を発表した。1945年モントリオール大学の実験医学、外科学の教授となり、多くの医学賞を受けた。

 セリエの学説では、生体が細菌感染、薬物中毒外傷火傷、寒冷、精神緊張など、物理的、心理的な非特異刺激に当面したとき、その刺激に無関係な一連の個体防衛反応が現れることをストレスと称し、ストレスの原因をストレッサーとよんだ。ストレッサーは下垂体前葉→副腎皮質の内分泌系によって、ストレス反応を演じる。この反応は、生体が環境に適応するための現象で、汎(はん)適応症候群と名づけられ、警告反応、抵抗期、疲労困憊(こんぱい)期の3段階で進行する。この反応が過度になると、ストレス潰瘍(かいよう)のような病的状態になる。

[古川 明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セリエ」の意味・わかりやすい解説

セリエ
Selye, Hans

[生]1907.1.26. オーストリア=ハンガリー帝国,ウィーン
[没]1982.10.16. カナダ,モントリオール
オーストリア生まれのカナダの内分泌学者。フルネーム Hans Hugo Bruno Selye。ストレス理論の提唱者。パリ大学およびローマ大学で医学を学び,1929年,チェコスロバキアのプラハにあるドイツ大学で医師資格を得た。1931年ロックフェラー研究員としてアメリカ合衆国に渡り,ジョンズ・ホプキンズ大学に入り,翌 1932年カナダのマギル大学に転じた。1945~76年,モントリオール大学の教授兼実験医学研究所所長,1976年から国際ストレス研究所所長となる。1936年に生体が外傷,中毒,寒冷,感染症などの非特異的刺激(ストレッサー)を受けると,その刺激の種類に関係なく,下垂体前葉,副腎系を中心とした反応が起こるというストレス理論を提唱した(→汎適応症候群)。著作は 1200をこえるが,一般向け著書としては『現代生活とストレス』The Stress of Lifeがある。

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世界大百科事典(旧版)内のセリエの言及

【ストレス】より

…ストレスは元来は機械工学的な用語で,物体を圧縮したり引き伸ばしたりしたときにその物体に生じる〈ひずみ〉を意味するが,1936年H.セリエによってストレス学説が提唱されて以来,この語はしだいに流布し,現今では日常用語化している。その邦訳語は〈負荷〉であるが,ほとんど用いられず,外来語のまま使用されている。…

※「セリエ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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