セルバ(読み)せるば(英語表記)Selva

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セルバ」の意味・わかりやすい解説

セルバ
せるば
Selva

南アメリカのアマゾン川流域およびその周辺の約600万平方キロメートルの地域に分布する熱帯雨林。年じゅう高温で、年降水量が1500~4000ミリメートル、著しい乾期のない地域に発達している。高さ40メートル、ときには60メートルにも達する常緑広葉樹を主体とする密林であるが、つる植物や寄生植物も多い。1ヘクタール当り50~100種類もの大木が混然と生育している。典型的な熱帯雨林はアマゾン川流域に広がる低い台地上にみられ、テラ・フィルメTerra firme林とよばれる。定期的およびほとんど常時冠水する低地森林は、それぞれバルゼアVárzea林、イガポIgapó林とよばれ、テラ・フィルメ林に比べて樹種が少なく、樹高も低い。

 ペルーでは、海岸地方(コスタCosta)、山岳地方(シエラSierra)に対して、この種の森林に覆われたアマゾン川流域の低地地方をセルバとよんでおり、イキトスがその中心都市である。

[松本栄次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セルバ」の意味・わかりやすい解説

セルバ
selva

南アメリカ,アマゾン川の中流域に発達する熱帯雨林の呼称。北はオリノコ川付近のリャノスに,東はアマゾン川下流の洪水域の森林に,南はパラグアイグランチャコに,西はアンデス山麓に及ぶ範囲をおおう。高温多雨の気候で平坦な地形に広葉常緑高木が密生し,つる植物の葉も森林の樹冠部につくので,林床は暗く下生えは茂らない。樹種は 1km2に満たない範囲で百数十種にも及び,特にマメ科の種類が多い。用材としても上質なブラジルナッツの大樹や羽状の葉の長さが 10mほどになるマクシミリアナなどのヤシ類が多いのも特徴である。蟻植物のコクロピア,用材となるロッグウッド,マホガニーや,コーヒーノキ,コカノキ,マテチャノキも林中に見出される。着生植物のおもなものにラン科,サトイモ科,パイナップル科,シダ類があり,河岸にカンナ,マランタ,カラジウムのように美しい花や葉をつけるものが多く,水中には巨大な葉をもつオオオニバスが生育する。

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