ソロモン諸島民(読み)ソロモンしょとうみん(その他表記)Solomon Islanders

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソロモン諸島民」の意味・わかりやすい解説

ソロモン諸島民
ソロモンしょとうみん
Solomon Islanders

ソロモン諸島の先住民。形質的にはほとんどがメラネシア系,言語的には大部分オーストロネシア語族に分類されるが,その地域差は著しい。ブーゲンビル島,ベララベラ島,サンタクルーズ諸島などには,非オーストロネシア系の言語を用いる住民が住み,周辺のレンネル島,オントングジャワ島,ティコピア島にはポリネシア系住民が住む。ソロモン諸島の住民は,焼畑農耕によるタロいも,ヤムいも,さつまいも,バナナなどの栽培と豚の飼育をおもな生業とするが,サゴやしやパンの木が重要な地域もある。また,海岸部やサンゴ礁島では漁労が重要で,普通,木をくりぬいたカヌーが用いられる。地域的にアウトリガーカヌーもみられる。カヌーは漁労や交易のほか,戦闘用としても用いられた。生活は基本的に自給的であるが,内陸部と海岸部の住民の間で,農作物と魚介類の交易をおもな目的とする市場が伝統的に行われてきたし,白人との接触以後,プランテーションによるココやしやコプラの栽培は,住民の貴重な現金収入源となっている。住居は一般に高床式である。社会生活は,核家族が基本となり,拡大家族あるいは氏族が1つの村落を構成する。親族組織単系出自であるが,マライタ島やショワズル島のように双系制がみられることもある。村落には,政治的な首長がいるがその権力は大きくなく,村落間や集団間での統一に欠けるところがある。婚姻に際しては,貝貨や豚が婚資として贈られる。宗教は,祖霊マナと呼ばれる超自然霊への崇拝が著しい。祖霊や精霊への信仰儀礼が発達し,儀礼は男子集会所や秘密結社で行われる。かつては首狩りや食人習俗がみられたが,住民がキリスト教化するとともに衰退した。

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