ソロ人(読み)ソロじん(その他表記)Solo man

翻訳|Solo man

改訂新版 世界大百科事典 「ソロ人」の意味・わかりやすい解説

ソロ人 (ソロじん)
Solo man

東部ジャワのガンドンNgandong村で,1931-33年にソロ河の河岸段丘堆積層から発掘された化石通称。オッペンノールトW.F.F.Oppennoorthが1932年にホモ・ジャワントロプス・ソロエンシスHomo Javanthropus soloensis(模式標本はNgandong 1)と名づけたことによる。少なくとも13個体の脳頭蓋を含むが,顔面は発見されていない。脛骨が2本発見されている。ソロ河上流のガウイNgawi村で1987年に発見された頭骨や,サンブンマチャンSambungmacan村で1973年と97年に発見された頭骨も,ソロ人と類似した特徴を示す。年代は約12万年前あるいは約4万年前と推定され,かつてはアジアのネアンデルタール人といわれたこともあったが,今では末期ジャワ原人と見なされ,ホモ・エレクトスに含まれる。脳頭蓋が長く広く,眼窩上隆起や後頭隆起が突出する点では他の原人と似ているが,脳頭蓋が高い点では進歩的で,頭蓋腔容積(脳容積より10%ほど大きい)は900~1200mlである。脛骨の1本は大きく頑丈で,身長は170cmほどと推定される。眼窩上隆起や顎関節には,他の原人や旧人には見られない特殊な形態があり,海部陽介や馬場悠男たちの研究によって,ジャワ原人が長期間にわたってジャワ島で独自の進化を遂げた結果と解釈されている。多地域進化説では,ソロ人がオーストラリア先住民に進化したとされたが,現在は否定されている。
ジャワ原人 →ホモ・エレクトス
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソロ人」の意味・わかりやすい解説

ソロ人
ソロじん
Solo man

ホモ・ソロエンシス Homo soloensisともいう。ジャワ中部,ソロ川の河岸段丘で発見された化石人類。トリニール層の上方から,1931~33年に,C.ハールによって 11個の頭蓋と2個の脛骨が発見された。 F.ワイデンライヒの研究によると,これらはどれもよく似た形態をもっており,同一の集団に属するものと考えられる。頭蓋は長く,一般に骨は厚く,眼窩上隆起が発達し,項筋の付着部が突出し,乳様突起も大きい。脳容量は平均 1100cm3と報告されている。ワイデンライヒらは,この人骨群を原人から旧人への移行段階と考えた。時代は,多量に伴出した哺乳類化石によって後期更新世と考えられている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ソロ人」の解説

ソロ人(ソロじん)
Solo

ジャワ島,ソロ川沿いのガンドン(Ngandong)で1931年から33年にかけて発見された部分頭蓋骨(とうがいこつ)12点や脛骨(けいこつ)の人類化石群の通称。ジャワ原人とよく似た形態特徴を持つが,脳容量が1000~1200ccとより大きい。かつてはネアンデルタール人とともに旧人段階の人類化石とされたが,今ではジャワ原人が若干進化した状態と解釈されることのほうが多い。年代は不明だが,動物化石の比較などから数十万年前頃とされることが多い。

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