アメリカの心理学者。マサチューセッツ州生まれ。ハーバード大学でW・ジェームズの指導を受け、機能主義functionalismの影響下に動物の学習に関する実験を行い、続いて、コロンビア大学に移り、J・M・キャッテルのもとで、ネコなどの迷路・問題箱の実験を継続、動物の知能に関する研究で学位を得た。
動物の学習実験で連合過程を分析し、試行錯誤による偶然の反応が、正しい結果をもち、満足を与えることによって、その反応がそのときの事態と連合を強めること(効果の法則)と、反応と事態との反復によって、いっそう連合が強められること(練習の法則)を主張した。この主張は、その後の行動研究・学習理論に大きな影響を与えている。彼はこれらの動物実験から人間の学習、教育面にも広い関心をもち、教育測定、語彙(ごい)研究などに開拓的業績を残している。主著に『Animal intelligence』(1898)、『Educational psychology』(1913)、『Fundamentals of learning』(1932)、『Man and his work』(1943)などがある。
[小川 隆]
アメリカの心理学者。コロンビア大学教授(1904-40)。マサチューセッツ州ウィリアムズバーグに生まれる。ハーバード大学でW.ジェームズに学んで動物の学習実験をつづけ,のちコロンビア大学に移り,それまでの研究をまとめた論文《動物の知能》で学位をえた。1899年コロンビア大学の講師になり,動物についての研究を基礎としながら人間の学習,教育についての研究を深めた。とくに〈訓練の転移〉に関する理論は彼の教育心理学の土台になったし,テストに関する研究は教育の客観的な測定のために大きく貢献した。知能テストの作成,学習の動機づけなどについての研究は,日本の教育心理学研究の前進にも寄与した。主著に《教育心理学Educational Psychology》(3巻,1913-14)がある。
執筆者:中野 光
アメリカの科学史家,中世史家。1924年コロンビア大学歴史学教授。29年アメリカ科学史学会会長,55年アメリカ歴史学協会会長などを歴任。アメリカ中世史学会創設者の一人。主著《魔術と実験科学の歴史》8巻(1923-58)は,西欧において学問的進展の著しい13世紀から17世紀までの,広義の科学的文献(今日の定義からいえば擬似科学とみなされる錬金術,占星術,神秘思想なども含む)を大量に探査し,一部復元しつつ流れを追った労作である。これは科学史の“百科全書的”研究として,G.A.L.サートンの仕事と並び,時代的にもそれを継ぐものとして,今日なお価値を失わない。
執筆者:村上 陽一郎
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…第1は,刺激と反応との結合を学習の基礎とみなす〈連合説〉である。最初にこの立場を表明したE.L.ソーンダイクは,学習を試行錯誤の過程とみなし,刺激と反応との正しい結合が生ずる条件を示すいくつかの法則を作り上げた。例えば,正反応の結果には満足が与えられなければならないことを説く〈効果の法則〉,数多くの反復をしなければならないことを説く〈練習の法則〉,刺激と反応との結合の用意が整っていることの必要性を説く〈準備の法則〉などである。…
…どれだけ学ぶことができるかその可能性を予測する適性検査aptitude testに対置される。その形式は,客観化されたペーパー・テストによるものが多く,20世紀初頭まで試験の際に用いられた口頭試問や論文体テストの恣意性と主観性を克服するため,アメリカにおいてE.L.ソーンダイクらによって開発されて以降急速に普及した。例えば彼が初めて作成した客観的テスト(書き方考査尺度,1910)以降,1928年には,アメリカで標準化されたテストは約1300種,40年には2600種にもなった。…
…他方アメリカでは,モイマンと同様ブントの教えを受けたG.S.ホールが児童の精神内容に関する研究成果を発表していわゆる児童研究運動child study movementを推進し,またキャッテルJames McKeen Cattellが《メンタルテストと測定》を著して教育測定運動の基礎をすえた。そして20世紀に入り,これらを背景としてE.L.ソーンダイクが教育心理学の体系化をはかった。彼は真の教育科学は帰納的でなければならないと主張し,とくに教育測定の方法や学習心理学の建設に努力しつつ《教育心理学》3巻(1913‐14)の大著をまとめたのであった。…
…また教育評価は,一般的には,ランクづけや序列化の活動と理解されがちであるが,その機能は,本質的にはこれらとは無縁であって,〈教育実践に内在〉し,教師がみずからの教えるべき目標,教材,指導方法等を点検しなおし,〈子どもを見る目〉を一層確かなものにしていく契機なのである。 そもそも〈教育評価educational evaluation〉という概念は,1930年代にアメリカにおいて,20世紀初頭からE.L.ソーンダイク,ストーンC.W.Stoneらによって展開された教育測定educational measurement運動に対する批判の中で登場した新しい考え方である。それは教育測定の考え方が教育の中に〈数量化〉をもちこみ,客観テスト,標準テストの重要性を強調したのに対して,学習過程の評価のための事例研究法,観察法,生徒の自己評価の方法,教師自身の手になるテストの工夫など多様な手段で,生徒の学習状況を把握しようとするものであった。…
…E.L.ソーンダイクが,動物や人間の学習を最もよく特徴づけるとして唱えた説。その後これを〈選択と結合の学習〉と呼びかえた。…
…また,この型の学習では2種の刺激の組合せ(連合)が重要であり,連合学習associative learningという。この学習のモデルとして,I.P.パブロフの条件反射を原型とする古典的条件づけと,E.L.ソーンダイクの道具的条件づけがある。これらはともに二つの過程の連合が重要で,古典的条件づけでは2種の刺激の連合が,道具的条件づけでは動物の反応とそれを基準とした強化刺激の連合が重要となる。…
※「ソーンダイク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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