改訂新版 世界大百科事典 「タウンゼンド諸法」の意味・わかりやすい解説
タウンゼンド諸法 (タウンゼンドしょほう)
Townshend Acts
イギリスの大蔵大臣タウンゼンドCharles Townshend(1725-67)の提案により,1767年6月から秋にかけて通過した,北アメリカ植民地に関する四つの議会法。彼は地租軽減を発表して本国地主層の支持を獲得し,アメリカ植民地人に対しては,印紙税法の経過を参考に,航海法による関税の形で歳入増をはかった。〈歳入法〉は植民地が輸入するガラス,鉛,ペンキ,紙,茶などに輸入関税を課し,それを本国任命の植民地官吏の俸給に充当し,植民地議会の影響力をなくす。〈関税徴収法〉と〈海事裁判所〉とは,歳入法施行上の全権を新設のアメリカ税関委員局に与え,密貿易事件は陪審制ではない海事裁判所で迅速に行う。〈停止法〉は,イギリス軍に対する宿営費の支出を拒否するニューヨーク植民地議会の活動を〈宿営法〉(1765)に服するまで停止させるものであった。植民地人はこれらをJ.ディッキンソンの〈ペンシルベニアの一農夫からの手紙〉や〈マサチューセッツ回状〉で違憲だと抗議し,民衆はイギリス品不買協定を結んで抵抗したため,70年4月茶税のみを残して撤廃された。
執筆者:武則 忠見
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報