改訂新版 世界大百科事典 「タルバガタイ山脈」の意味・わかりやすい解説
タルバガタイ[山脈]
Tarbagatai
中央アジア,カザフスタン共和国東部から中国の新疆ウイグル自治区の北西部にかけて高まる顕著な中山性の山脈。東半は両国の国境をなす。東西の長さ約300km。山体はケツ岩,石灰岩,砂岩,所により花コウ岩が広く露出する。最高点はカザフスタン側のタスタウ山(2992m)。乾燥地帯にあるために水系の発達は悪いが,北斜面の川の水はザイサン湖に注ぎ(最下流はオビ川となって北極海へ流入する),南斜面の川の水は内陸湖で塩湖のアラコリ湖へ注ぐが,乾季にはすべて末無川となる。山腹下部は植生のほとんどない半砂漠,山腹はステップないし発達のよくない森林がわずかに見える。南北両麓には主要隊商路があって,いくつものオアシスを連ねて東西に通じている。
執筆者:渡辺 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報