タルマ(読み)たるま(英語表記)François-Joseph Talma

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タルマ」の意味・わかりやすい解説

タルマ
Talma, François-Joseph

[生]1763.1.16. パリ
[没]1826.10.19. パリ
フランスの俳優。イギリスで育ち,1787年コメディー・フランセーズでデビュー。 89年革命の最中に M.シェニエの『シャルル9世』を上演,その革命賛歌によって一躍名優としての地位を確保した。しかし劇団内の保守派と対立し,91年若手の仲間とともに脱退,当時本拠地であったオデオン座からリシュリュー街の劇場へ移った。 99年劇団の再統合がなされて以後は,この劇場がコメディー・フランセーズの本拠となった。タルマナポレオン寵愛を受け,ドイツのエルフルトでロシア皇帝アレクサンドルをはじめ諸国の王を前にして演じたこともある。また,画家の J.ダビッドを友とし,その協力を得て舞台装置,衣装の改革を行なったことでも知られる。著書に『俳優術考察』 Réflexions sur Lekain et l'art théâtral (1825) がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タルマ」の意味・わかりやすい解説

タルマ
たるま
François-Joseph Talma
(1763―1826)

フランスの悲劇俳優。歯科医を志してロンドン留学中シェークスピアの舞台を見て演劇転向、パリに帰って演劇を学ぶ。1787年コメディ・フランセーズでデビュー。89年上演戯曲をめぐって保守派と対立し、91年分裂、革命支持の彼の一派は共和国劇場を開いた。99年にコメディ・フランセーズに復帰し、以後ナポレオンの庇護(ひご)を受け、コルネイユラシーヌ、シェークスピアなどの主役比類ない重厚さで演じた。また、舞台装置や衣装を写実化し、それまでの誇張した朗唱法を抑制するなど演出、演技を改革した。ロマン派劇流行の直前に死去

伊藤 洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android