ダフネ(読み)だふね(英語表記)Daphne

翻訳|Daphne

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダフネ」の意味・わかりやすい解説

ダフネ
Daphnae; Tahpanhes

古代エジプトの要害都市。ナイルデルタのカンタラの西方 12kmに位置する。現タルアルダファナ。旧約聖書ではタパネス (テパネス) として言及され,エルサレム陥落 (前 587) 後,多くのユダヤ人がここに移り住み,そのなかには強制的に連行された預言者エレミヤもいた。 1886年に F.ペトリーによって発掘され,この町を再建したといわれる第 26王朝のプサムティク1世 (在位前 664~610) の名前のある粘土板や,ギリシア土器,鉄武具などが発見されている。第 26王朝のアーモス2世 (在位前 570~526) がナウクラティスにギリシア貿易の独占権を与えてから衰退した。

ダフネ
Daphnē

ギリシア神話で,月桂樹前身とされる美貌ニンフ。ラドン川またはペネイオス川の河神の娘だったが,アポロン求愛を嫌って,父の川の岸辺まで逃げ,そこで跡を追いかけてきたアポロンに捕えられそうになると,父に祈り,ギリシア語でダフネという月桂樹に変えてもらった。アポロンは,恋人の変身したこの木を,以後自分の聖木とし,勝利者に与えられる冠 (月桂冠) を,その枝でつくることにしたという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダフネ」の意味・わかりやすい解説

ダフネ
だふね
Daphne

ギリシア神話のニンフで月桂樹(げっけいじゅ)の擬人化アルカディアまたはテッサリアの河神の娘とされる。あるとき彼女はアポロンに恋をしかけられたが、これを嫌って逃げた。追われながら助けを求めると、父(またはゼウス)が、アポロンに捕まえられようとするダフネを月桂樹に変えたという。この木はアポロンの木となった。またペロポネソス地方の伝承によれば、ダフネに恋をしたレウキッポス女装して彼女に近づこうとし、彼女の狩りの仲間に入ることができた。しかし嫉妬(しっと)したアポロンが彼女たちに水浴をさせたため、レウキッポスの女装はたちまち見破られて、彼はダフネに狩りの槍(やり)で殺されたという。

[伊藤照夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例