チチハル(読み)ちちはる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チチハル」の意味・わかりやすい解説

チチハル
ちちはる / 斉斉哈爾

中国、黒竜江(こくりゅうこう)省西部の地級市。省都ハルビンの北西270キロメートル、嫩江(どんこう)の中流域に位置する。竜沙(りゅうさ)、昂昂渓(こうこうけい)など7市轄区からなり、拝泉(はいせん)、竜江(りゅうこう)など8県を管轄下に置き、訥河(とつが)市を管轄代行する(2016年時点)。常住人口570万1100(2014)。地名はダウール語で「天然の牧場」の意。1905年に黒水庁が置かれ、1913年に竜江県となったのち、1936年同県から分離してチチハル市が設けられた。

 気候は大陸性で、月平均気温は1月が零下19.6℃、7月が23.6℃、年降水量は451.5ミリメートルで降水は夏に偏る。市轄区内を、平斉(へいせい)線(四平(しへい)―チチハル)、斉北線(チチハル―北安(ほくあん))、浜洲(ひんしゅう)線が通る。市中心部の南約13キロメートルにチチハル三家子空港がある。周辺は嫩江流域の広漠たる塩基性の平原で、大豆、小麦、ジャガイモサトウダイコンアワトウモロコシコウリャンのほか天然ソーダを産する。都市部ではこれら雑穀の加工や製糖も行われる。冶金、大型機械、機関車貨車製造、製紙軍需品、電子部品などの工業が発展し、省内有数の工業都市となっている。

[浅井辰郎・編集部 2017年7月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「チチハル」の意味・わかりやすい解説

チチハル (斉斉哈爾
)
Qiqihar

中国東北部,黒竜江省西部の市。人口154万(2000)。嫩江(のんこう)中流部東岸にある。市内の昂昂渓区では浜州,平斉,斉北等の鉄道が交叉する。13世紀初めには室葦族の遊牧の地で,1333年(元統1)五路軍民万戸府が設けられ,はじめて卜奎(ぼつけい)という名の町が生まれた。明末ツングース族とダフール族が当地付近に移住し,狩猟に従事,しだいに定住を始めた。チチハルとはダフール語の〈天然牧場〉の意という。清初黒竜江沿岸の開発に伴い,吉林と愛輝を結ぶ交通路の要衝として軍事的に重視され,1699年(康煕38)将軍府がおかれ,1808年(嘉慶13)には戸数1万をこえた。1903年(光緒29)東支鉄道が開通,09年火力発電所が建設され,工業も芽生えた。日本の支配下においては対ソ作戦用軍事基地,兵站(へいたん)基地として重視された。解放後工業建設の重点地区となり,また富拉爾基,昂昂渓地区を合併,機関車等の鉄道車両をはじめ,鋼材,機械,製紙,製糖,木材加工などの工業が著しく発達し,また嫩江平原の農牧林産物の大集散地である。
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百科事典マイペディア 「チチハル」の意味・わかりやすい解説

チチハル

中国,黒竜江省西部の都市。漢字では斉斉哈爾嫩江(のんこう)中流域左岸にあり,嫩江平野の中心。清代に,ロシアの北辺侵入の防御地として建設。浜洲(ハルビン〜マンチュリー)・平斉(四平〜チチハル)・斉北(チチハル〜北安)の3鉄路の交差点で,夏季には嫩江の水運もある。農畜産物を集散,工作機械,鉄鋼,木材加工,製糖,食品,車両等の工業が盛ん。143万人(2014)。
→関連項目黒竜江[省]

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