安上がりの政府の意味で,リトル・ガバメント(小さな政府)とも呼ばれる。国民の租税負担を低く抑えて,経済活動に干渉しない政府のありかたをいう。自由放任主義の時期における国家は,政府の活動領域に関しては夜警国家として特徴づけられるが,政府の財政面に関しては〈最小の政府こそ最良の政府〉であるとするチープ・ガバメントの形をとった。これは,自由放任主義の時期に最も強い政治的発言権をもっていたブルジョアジーが,自由な経済活動によって富を追求することを望み,政府の活動領域をできるだけ狭くして,租税負担もできるだけ低くすることを要求したためである。しかし自由放任主義が行き詰まって,経済や社会の多様な領域が自律的な秩序を形成できなくなると,政府は経済や社会のさまざまな領域に介入せざるをえなくなる。また平等化が進み,より平等な状態を実現しようとする要求が高まると,政府は社会福祉立法や少数派保護立法によって,平等化の促進に努めざるをえなくなる。いずれにしても政府の活動範囲と財政規模は拡大の一途をたどらざるをえず,〈高福祉・高負担〉の福祉国家へと転換することになる。ただその結果,最近では租税額が国民の負担しうる範囲を超えて,民間の経済活動を後退させるなど大きな政府の弊害もめだちはじめたため,日本,アメリカ,ヨーロッパの先進諸国では小さな政府を再評価する傾向も強まっている。
執筆者:阿部 斉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…いわば夜警国家であり,政府の役割はたしかに政府独自の機能であるが,しかし経済社会発展の主導力は民間部門にあるから,政府活動は必要最低限にとどめねばならない。事実,租税は民間に対する直接の干渉であり,政府は少ない租税収入で最小限度の役割を行うのが〈安上がりの政府cheap government〉であり,民間部門からできるだけ中立を守ることである。しかし現実には,たび重なる戦争で財政支出が膨張し,しかも租税だけでは足りず,各国とも膨大な対民間債務を背負うことになった。…
※「チープガバメント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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