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安価な政府 あんかなせいふ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

安価な政府
あんかなせいふ

小さな政府」ともいう。 18世紀末頃より用いられた自由主義の財政的標語で,財政規模のあまり大きくない政府をいう。ナポレオン戦争後のイギリスでは,軍事費の削減はもとより,航海法,独占特許制度の撤廃などの自由主義施策の推進と並んで一般経費の縮減が進められた。このため 1870年頃まで国家財政の規模は年々減少,または漸増するにとどまり,史上ほとんど唯一の「安価な政府」が出現した。その思想的背景にあるものは,国の役割を国防,警察などに限る A.スミス夜警国家観である。しかし,前世紀末以降イギリスをも含めて経費膨張が避けがたい傾向となったことは,帝国主義の風潮に負うところが大きい。第2次世界大戦後は,福祉の充実など各経済分野での公共部門の拡大が「高価な政府」へと拍車をかけているが,1980年代アメリカのレーガン政権,イギリスのサッチャー政権下では「小さな政府」への動きがみられた。その趣旨は,経済・社会政策の領域での政府の役割を削減し,市場機構と競争に多くをゆだねることによって財政赤字・政府規制を改め,公営企業の民営化を促し,自立・自助の精神により資本主義経済の再活性化をはかることにあった。 (→経費膨張の法則 )  

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デジタル大辞泉の解説

安価(あんか)な政府

cheap government》政府の役割を国防・司法および特定の公共事業などに限定し、その財政支出を必要最小限度に抑えることを理想とする財政思想・国家観。政府が経済活動に介入すると経済の自然な調和と発展を乱し、また財政支出の増大は社会の資本蓄積を妨げて経済発展を阻害するという自由主義思想に基づく。

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大辞林 第三版の解説

あんかなせいふ【安価な政府】

政府支出を必要最小限に抑えた政府。また、それを理想とする財政論・国家観。政府は経済活動に関与せず、国防・治安維持などの限定された任務だけをおこない、それにより国家運営経費および国民の税負担を低く抑えようとする考え方。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

安価な政府
あんかなせいふ

個人の人権や自由を制限した絶対主義国家と、国民の高負担で植民地支配や植民地貿易を推進した重商主義政策を批判して、レッセ・フェール(自由放任主義)を主張した、ヨーロッパの市民革命思想や古典派経済学が理想と考えた政府像を端的に表現した用語で、チープ・ガバメントcheap governmentの翻訳語である。その主張の内容は次の2点に要約される。
 第一は、政府による経済活動への介入の制限、すなわち、政府が特定産業などを保護したり規制したりするような経済活動への介入は、行うべきではないということである。こうした介入は、個人の自由な経済活動や自由な市場の機能を阻害し、所得(利益)の不平等などを生み出すので、資源の効率的配分が実現せず、経済の自然な調和がとれた発展を遅らせることになる。したがって、政府の役割は、円滑な経済活動の前提条件である「個人の生命と財産の保護」に必要な、司法や国防(いわゆる夜警国家)と若干の公共事業に限られるべきである、とする。
 第二は、国民負担の軽減である。国民による高額の租税負担は、民間の資本蓄積を遅らせて経済の成長を妨げるので、政府財政もできる限り縮小すること、すなわち、「安価な政府」が望ましいということである。[佐々木秀太]

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