ツクバネソウ(読み)つくばねそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツクバネソウ」の意味・わかりやすい解説

ツクバネソウ
つくばねそう / 衝羽根草
[学] Paris tetraphylla A.Gray

ユリ科(APG分類:シュロソウ科)の多年草。地下茎は細長く地中を横走し、径3~5ミリメートル。地上茎は高さ10~40センチメートルで無毛。普通は4枚の葉を輪生するが、葉は典型的な地理的クラインを示し、北海道から本州北陸地方にかけて生育するものは幅が広く、広卵形から卵形。本州中部地方から南西部、四国、九州にかけてのものはしだいに葉幅が狭く、披針(ひしん)形である。花柄も個体差が大きく、0.3~15センチメートル。5~7月、茎頂に1花をつけ、外花被片(かひへん)は4枚で緑色、内花被片はない。果実球形、径1~1.2センチメートルの液果で、秋に黒く熟す。北海道から九州の低山帯の落葉樹林から亜高山帯下部の針葉樹林内に生える。

河野昭一 2018年11月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツクバネソウ」の意味・わかりやすい解説

ツクバネソウ(衝羽根草)
ツクバネソウ
Paris tetraphylla

シュロソウ科の多年草で,山地の林中に生える。地下を長くはう白色根茎先端から,直立する緑色円柱形の地上茎を伸ばす。茎の高さは 20~30cmで,4枚の葉を上端に輪生する。5~6月頃,茎頂に 1~10cmの花柄のある花を上向きに開く。萼片黄緑色で 4枚,おしべは 8本で花弁を欠く。花後,紫黒色で球形の果実を結ぶ。同属のクルマバツクバネソウ P. verticillataはこの種によく似ているが,葉が 6~8枚輪生し,萼片 4枚のほかに花弁(内花被片)4枚が細い糸状をして萼片の間から垂れ下がる。

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