ディスインフレーション(読み)でぃすいんふれーしょん(英語表記)disinflation

翻訳|disinflation

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディスインフレーション」の意味・わかりやすい解説

ディスインフレーション
でぃすいんふれーしょん
disinflation

物価上昇率が低くなり、インフレーション進行が抑えられている状態、およびそのような経済状態にするためにとられる方策のこと。たとえば物価上昇が年率10%を示すなど激しいインフレが続いている経済状況において、中央銀行が通貨供給の引締めを行うなどの金融政策によってインフレ率抑制することに成功したようなケースをさす。ただし、インフレ率を抑制するとはいっても年率2%程度のインフレが続き、物価が下落するデフレーションにまではなっていない状況が、ディスインフレーションである。1990年代のバブル経済崩壊後の日本経済は、長らくこのディスインフレーション状態にあった。しかし、ディスインフレーションが続くなかでも日本銀行が通貨供給の引締めを続けたことで、日本経済は物の価格が下落するデフレ経済へと変化した。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディスインフレーション」の意味・わかりやすい解説

ディスインフレーション
disinflation

経済の規模を縮小させずにインフレーションを収拾する方策。第2次世界大戦後,生産の復興を促進しながら戦後インフレーションを抑制する政策として,イギリスをはじめ各国で採用され,日本でもドッジ・ライン一環として 1949年に実施された。これは一方では徹底的な消費抑制措置の実施と超均衡予算編成により余剰購買力を吸収し,他方では投資は抑制せず,むしろ貯蓄の範囲内で促進することによって,実質的な経済規模を縮小することなく物資需給を均衡させるものであるが,現在では単に深刻なデフレーションを引起さない程度に徐々にインフレーションを収拾する政策をさす場合が多い。

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