デジタルミレニアム著作権法(読み)でじたるみれにあむちょさくけんほう(英語表記)Digital Millennium Copyright Act

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

デジタルミレニアム著作権法
でじたるみれにあむちょさくけんほう
Digital Millennium Copyright Act

デジタル情報の著作権を保護するアメリカ連邦法。英語の頭文字をとってDMCAと略称する。世界知的所有権機関WIPO(ワイポ))により、1996年WIPO著作権条約とWIPO実演・レコード条約が締結された。これにアメリカ連邦法を適合させるためアメリカ著作権法が改正され、1998年に制定された。施行が2000年であったため、ミレニアム(千年紀)の名が法律につく。デジタル情報の盗用や不正複写などの防止を目的とし、(1)著作権侵害行為があった場合、インターネットの接続サービス業者(プロバイダー)などに対し、侵害情報やサイトの削除・非公開化を要求できる、(2)デジタル情報の複写を防止・制御する技術の解除・無力化や、解除・無力化技術の開発・公表・頒布をすべて禁止する、の二つを柱としている。従来、ネット上で著作権侵害があった場合、ネット上の情報発信者と情報受信者の中間に位置するプロバイダーやホスティング・サービス会社の責任が不明確であった。デジタルミレニアム著作権法では、著作権侵害行為があり、侵害を受けた権利者が侵害行為を中間事業者へ通知(ノーティスnotice)した場合、中間事業者が侵害情報を速やかに削除・非公開(テイクダウンtake down)とすれば免責となる。これをプロバイダー免責規定とよび、一連の手続きを「DMCAノーティス・アンド・テイクダウン」という。また侵害したと思われた情報を中間事業者が削除・非公開とした後、著作権侵害が成立しなかった場合でも、中間事業者は情報発信者の被った損害について免責される。デジタルミレニアム著作権法は強力な効力をもち、映像や音楽のダビング、データのバックアップ行為などが違法となった。ネット検索大手のグーグル社やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のツイッター社などは同法に基づき、盗用コンテンツやサイトの削除申請を受け付けている。

 なおヨーロッパ連合EU)には、2001年に成立したEU著作権指令(EU Copyright Directive:EUCD)という、デジタルミレニアム著作権法と同様の著作権保護ルールがある。日本でも2001年(平成13)にプロバイダ責任制限法が成立し、これに準ずる規定が導入されている。

[矢野 武 2018年12月13日]

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