日本大百科全書(ニッポニカ) 「デヒドロ酢酸」の意味・わかりやすい解説
デヒドロ酢酸
でひどろさくさん
dehydroacetic acid
環内に酸素原子をもつ6員環複素環式化合物の一つ。デヒドロアセト酸ともいう。アセト酢酸エステル2分子の縮合による環化、ないしはジケテンの塩基触媒による二量化によって得られる。分子式C8H8O4、分子量168.1、融点109℃、沸点269.9℃。白色の結晶でエタノール(エチルアルコール)にはかなり溶けるが、水に対しては比較的溶けにくい。昇華性がある。カルボキシ基はないがエノール形のヒドロキシ基により弱い酸性を示す( )。細菌、カビ、真菌類を殺す作用があるので、皮膚の白癬(はくせん)症の医薬、化粧品や食品の防腐剤として用いられる。ナトリウム塩は水に溶けやすいので、保存料として食品添加物に使用されている。
[廣田 穰]