デラメア(読み)でらめあ(その他表記)Walter John De la Mare

精選版 日本国語大辞典 「デラメア」の意味・読み・例文・類語

デ‐ラ‐メア

  1. ( Walter John de la Mare ウォルター=ジョン━ ) イギリス詩人小説家夢幻的でロマンチックな作品を残す。作品に「耳をそばだてる者たち」、長詩旅人」。(一八七三‐一九五六

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デラメア」の意味・わかりやすい解説

デ・ラ・メア
でらめあ
Walter John De la Mare
(1873―1956)

イギリスの詩人、童話作家。ユグノー派の血を引く名家一員としてケントに生まれ、聖パウロ聖歌学校を卒業。ウォルター・ラマルの名で詩集幼年期の唄(うた)』(1902)を発表、小説『ヘンリー・ブロッケン』(1904)で文壇に名を知られるようになり、幼年期の幻想を主題にした繊細で幽艶(ゆうえん)な作品を次々に発表した。とくに詩集『耳をそばだてる人々』(1912)、童謡集『孔雀(くじゃく)のパイ』(1913)は彼の叙情的・神秘的な傾向とことばの技巧が洗練の極致に達したものとして高く評価された。しかし彼は詩風をさらに枯淡に深化させ、『旅人』(1946)、『翼のはえた戦車』(1951)などの長詩では幻想が宗教的な次元にまで昇華されている。また『魔女の箒(ほうき)』(1925)などの幻想童話でも有名。G・グリーン、D・トマスなどという層の厚い人々が愛読し、影響を受けていることにも注目してよい。1956年6月22日没。

[出淵 博]

『三井ふたばこ訳『世界名詩集大成10 耳をそばだてる人々』(1959・平凡社)』『脇明子訳『ウォルター・デ・ラ・メア作品集』全三巻(1976・牧神社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「デラメア」の意味・わかりやすい解説

デ・ラ・メア
Walter de la Mare
生没年:1873-1956

イギリスの詩人,小説家。母方の先祖に詩人ブラウニングがいる。名門パブリック・スクールのセント・ポール大聖堂合唱隊学校を出て,大学には進まず,石油会社に勤めながら処女詩集《幼年時代の歌》(1902)を発表。以後《老人たち》(1913)から《よしなしごと》(1927)を経て,《旅人》(1946),《翼ある戦車》(1951),《おお美しきイングランド》(1953)にいたる多くの詩集において,幼年・夢・驚異・時間・死などの主題を清純な調子で歌いつづけた。〈ジョージ朝詩人〉の一人に数えられるが,17世紀神秘主義からロマン派にいたるイギリス詩の伝統のよき継承者でもある。《死者の誘い》(1910),《小人の思い出》(1921)から《幽霊物語集》(1956)にいたる幻想小説や童話のほか,エッセーや詩集の編集など,多彩な仕事を残した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デラメア」の意味・わかりやすい解説

デ・ラ・メア
De La Mare, Walter (John)

[生]1873.4.25. ケント,チャールトン
[没]1956.6.22. ミドルセックス,トウィックナム
イギリスの詩人,小説家。ロンドンのセント・ポール校に学び,『子供時代の歌』 Songs of Childhood (1902) で文名を確立した。夢幻的神秘的な雰囲気をかもしだす独特の用語と韻律を駆使して,代表作『耳すます者』 The Listeners (12) をはじめ,多くのすぐれた詩集を刊行,「ジョージ朝詩人」を代表する存在の一人となる。ほかに,小説『帰郷』 The Return (10) ,『小人の思い出』 Memoirs of a Midget (21) ,評論『私見』 The Private View (53) など。

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百科事典マイペディア 「デラメア」の意味・わかりやすい解説

デ・ラ・メア

英国の詩人,小説家。ユグノーの家系に生まれる。詩集《幼年時代の歌》(1902年),《ピーコック・パイ》(1913年),《旅人》(1946年),《翼ある戦車》(1951年)などで,高度の技巧と夢幻的世界を示す。ほかに小説《帰郷》(1910年),《小人の思い出》(1921年),児童文学作品,戯曲など。

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世界大百科事典(旧版)内のデラメアの言及

【児童文学】より

…少年小説もまたT.ヒューズの《トム・ブラウンの学校生活》(1857),R.バランタインの《サンゴ島》(1857),ウィーダOuidaの《フランダースの犬》(1872),シューエルA.Sewellの《黒馬物語》(1877)のあとをうけて,R.L.スティーブンソンの《宝島》(1883)で完成した。架空世界を取り扱った物語は,J.インジェローの《妖精モプサ》(1869),G.マクドナルドの《北風のうしろの国》(1871),R.キップリングの《ジャングル・ブック》(1894),E.ネズビットの《砂の妖精》(1902),K.グレアムの《たのしい川べ》(1908),J.M.バリーの《ピーター・パンとウェンディ(ピーター・パン)》(1911),W.デ・ラ・メアの《3びきのサル王子たち》(1910)にうけつがれ,ファージョンE.Farjeon《リンゴ畑のマーティン・ピピン》(1921)は空想と現実の美しい織物を織り上げた。さらにA.A.ミルンの《クマのプーさん》(1926)が新領域をひらき,J.R.R.トールキンの《ホビットの冒険》(1937),《指輪物語》(1954‐55)は妖精物語を大成する。…

※「デラメア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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