アルゼンチン北西部にある同名州の州都。正称はサン・ミゲル・デ・トゥクマンSan Miguel de Tucumán。標高約400m,人口52万7150(2001)。1565年ディエゴ・デ・ビジャロエルによって建設されたが,1685年に,リマとブエノス・アイレスを結ぶ交通の要路にあたる現在の地点に移った。スペイン植民地時代には,アルト・ペルー(現在のボリビア)の鉱山地帯に衣料や食料,家畜などを供給する商業の中心地として栄え,18世紀末にサトウキビ栽培が普及してからは糖業の中心地となった。今日でもトゥクマン州は全国の砂糖生産の約7割を産出している。市内には,繊維,電子機器,トラクター,製菓,飲料などの工場があり,工業も発展を遂げつつある。北西部地方の政治・文教の中心地で,1816年にアルゼンチン(当時のリオ・デ・ラ・プラタ諸州連合)の独立を宣言した会議場が市内に残されている。1875年に設立され,一時廃校となったのち1914年に再建されたトゥクマン大学は,全国でも屈指の総合大学である。
執筆者:松下 洋
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アルゼンチン北西部、トゥクマン州の州都。正称はサン・ミゲル・デ・トゥクマンSan Miguel de Tucumán。都市圏人口52万3823(2001)。アルゼンチン北西部における政治、商・工業、文化の中心地である。亜熱帯気候で適度な降雨量に恵まれた後背地ではサトウキビ栽培が盛んで、トゥクマン州は国内最大のサトウキビ、精糖、アルコール産地であり、同市はサトウキビ、果実、穀物、精糖などの集散地となっている。1983年から国内で初めてアルコール燃料製造、実用化が開始された。初期植民地時代の1565年に建設され、1685年に現在の地に移転された。16~17世紀にポトシ銀山地域との交易で栄えたが、その後のパンパ地方を中心とする同国の発展からは取り残された。市内には植民地期様式の建造物が多く、歴史博物館、トゥクマン大学がある。
[今井圭子]
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