日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドクムギ」の意味・わかりやすい解説
ドクムギ
どくむぎ / 毒麦
darnel
[学] Lolium temulentum L.
イネ科(APG分類:イネ科)の一年草。稈(かん)は基部で分枝し、高さ60~90センチメートル。葉は長さ約50センチメートル、幅0.3~1センチメートル。6~8月、稈の先端に長さ10~30センチメートルの直立する穂状花序をつける。花軸は太いが、小穂に比べてやや細い。小穂は無柄、腹面で花軸上に互生し、長さ1~2.5センチメートル。第1包穎(ほうえい)は退化し、第2包穎は外側につき、ほぼ小穂と同長。護穎は先が丸く、長さ7~8ミリメートル、芒(のぎ)は1.2センチメートル以下。ヨーロッパ原産で、日本全土の平地に帰化している。ときに穎果に毒があり、家畜がそれを食べて中毒をおこすことから名がついた。以下の近縁種が知られている。花序の中軸が円柱形で、小穂が細長いのがボウムギ。第2包穎が短くて護穎に芒がなく、小穂が長さ1~2センチメートルになるのがホソムギ。護穎に長さ1センチメートルの芒があり、小穂がやや長く、多少開出するのがネズミムギ(イタリアンライグラス)。いずれも日本に帰化している。
[許 建 昌 2019年9月17日]