改訂新版 世界大百科事典 「ドマンジョン」の意味・わかりやすい解説
ドマンジョン
Albert Demangeon
生没年:1872-1940
フランスの地理学者。ビダル・ド・ラ・ブラーシュの高弟で,地域研究および人文地理学の諸分野を発展させた。リセの教師として教育に従事するかたわら,ピカルディー平野の地域研究に努め,《ピカルディー》の地誌を完成(1905)して学位を得た。本書は地誌の歴史的研究法を確立し,後の地域研究の模範となった点で高く評価される。リール大学教授を経て1911年パリ大学教授となる。以後,《ブリテン諸島》(1927),《ベルギー,オランダ,ルクセンブルク》(1927)で《世界地誌双書》刊行の先頭に立って基準を示し,《フランス経済人文地誌》(1946,48)でその最後を飾る。一方,農村集落の国際的研究組織の結成と推進に活躍した。農村,国際経済,都市その他広範な研究が遺稿集《人文地理学の諸問題》(1942)に収録され,《ヨーロッパの没落》(1920)などとともに,批判はともかく,国際的視野の点で示唆を与えている。
執筆者:松田 信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報