ドレッドノート(英語表記)H. M. S. Dreadnought

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドレッドノート」の意味・わかりやすい解説

ドレッドノート
H. M. S. Dreadnought

1906年に竣工したイギリスの戦艦。常備排水量1万 7900t,速力 21kn,主砲 12インチ (30cm) 10門,3インチ (7.6cm) 補助砲二十数門を装備し,まだ実験の域にあったタービン機関を採用した。当時の戦艦は 12インチ砲4門が普通であり,速力も 20kn以下であったので,各国に大きな衝撃を与え,大艦巨砲主義の時代を開いた。ドレッドノート級戦艦を「ド級艦」,さらに大型で巨砲装備艦を「超ド級艦」 super dreadnoughtと呼んだ。同じ 06年に日露戦争の戦訓を加味して建造を開始した日本の戦艦『薩摩』は,排水量1万 9400t,主砲が 30cm4門,25cm12門という大艦巨砲主義のものであったが,完成が 09年であったこと,主砲が2種類であったことによって,『薩摩』の名は軍艦史に残らなかった。なお,イギリスが第2次世界大戦後建造した最初の原子力潜水艦もドレッドノートであり,水上排水量 3500t,53cm魚雷発射管6,速力 30knの攻撃 (戦術) 型潜水艦である。

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