ドロノキ(読み)どろのき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドロノキ」の意味・わかりやすい解説

ドロノキ
どろのき / 泥木
[学] Populus suaveolens Fisch.
Populus maximowiczii A.Henry

ヤナギ科(APG分類:ヤナギ科)の落葉高木。デロ(泥)、ドロヤナギ(泥柳)ともいう。冬芽は披針(ひしん)形で樹脂を分泌し、粘る。側芽の鱗片(りんぺん)は数枚で縦に背腹の2列に互生し、頂芽ではやや多数で螺旋(らせん)状に配列する。葉はやや厚く、楕円(だえん)形から広卵形で長さ6~10センチメートル、先端は短くとがり、基部は丸いか浅い心臓形となる。表面は濃緑色、裏面はやや光沢のある白色を帯び、脈上に細毛がある。葉柄は丸くて細毛があり、長さ1~4センチメートル。雌雄異株。春、葉を出す前に、長さ5~10センチメートルの花穂を出し、垂れ下がる。果穂では20センチメートルに達する。雄しべは20~40本。花柱は短く、柱頭は2~4裂し、ほとんど柄はない。包葉は細裂し、基部に杯状の蜜腺(みつせん)がある。中部地方以北の本州、北海道の山地の河岸に生え、朝鮮半島、中国東北部、ウスリー、アムールなどに分布する。名は、材が泥のように柔らかいことによる。材は包装箱や細工物をつくるのに用い、マッチの軸木の材料ともする。

[菅谷貞男 2020年7月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドロノキ」の意味・わかりやすい解説

ドロノキ(泥の木)
ドロノキ
Populus maximowiczii; Japanese poplar

ヤナギ科の落葉高木。デロともいう。東アジアの温帯に広く分布し,亜高山や深山の開けたところに生える。樹皮はなめらかで暗灰色。葉は広卵形ないし楕円形で微細鋸歯をもち葉脈がよく見える。早春に,枝先に尾状花序をなして多数の花をつける。雌雄異株で,雌木では晩夏に果実が熟する。材木として利用できないほど材が軟らかいのでドロノキの名があり,近縁種のヤマナラシ P. sieboldiiは心材が白いためシロドロともいわれる。柳箸,マッチの軸木,経木などに利用される。

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