日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒメシャラ」の意味・わかりやすい解説
ヒメシャラ
ひめしゃら / 姫沙羅
[学] Stewartia monadelpha Sieb. et Zucc.
ツバキ科(APG分類:ツバキ科)の落葉高木。樹皮は赤色を帯びた褐色、薄片がはげ落ちると灰白色の斑紋(はんもん)ができる。葉は細長い楕円(だえん)形で長さ4~8センチメートル、両面に絹毛がある。夏、新枝の葉腋(ようえき)に白色花を1個ずつつける。萼片(がくへん)、花弁ともに5枚。雄しべは多数あり、花糸の基部は花弁に合着する。子房は白毛がある。蒴果(さくか)は木質で堅く、8~9月に熟し、5片に裂開する。山地に生え、関東地方以西の本州から九州に分布する。名は、全体がシャラノキ(別名ナツツバキ)に似るが、より小形であることによる。また樹皮がつるつるで滑らかなのでミソハギ科のサルスベリと同名のサルスベリ(またはサルヌメリ)、幹が赤みを帯びて林中でもよく目だつのでアカラギともいう。庭木として植えられ、材は皮付きのまま床柱に用い、器具、印材、盆など細工物にも利用する。
[杉山明子 2021年4月16日]