日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナニワイバラ」の意味・わかりやすい解説
ナニワイバラ
なにわいばら / 難波茨
[学] Rosa laevigata Michx.
バラ科(APG分類:バラ科)のつる性常緑低木。中国から日本に移入された栽培品種で、江戸時代の園芸書に多くの記載があり、中国名を金櫻子という。茎は長く伸び、他物に寄りかかって登り、下に曲がった茶色の強い刺(とげ)がある。葉は複葉で長さ5~10センチメートル、深緑色で美しい光沢があり、両面ともに毛はなく硬質である。小葉は3、まれに5枚、長楕円(ちょうだえん)形または披針(ひしん)状卵形で長さ3~5センチメートル、先は鋭くとがる。葉軸に刺があり、托葉(たくよう)は脱落性。5月初旬、小枝の先にかすかな芳香のある5弁花が一つずつ並んで、つる枝を飾る。花冠は純白色で平開し、径6~8センチメートルの大輪。果実は洋ナシ形で小刺がある。中国の中南部に分布し、日本の暖地で野生化もみられる。名は、難波(なにわ)(大阪)の商人が中国から輸入し販売したためという。変種のハトヤバラはハトヤイバラともいい、性状は前種とまったく同じであるが、花色は薄紅ぼかしである。前種より若干冬の低温に弱い。
[鈴木省三 2020年1月21日]