油脂焼夷弾の一種。ナパームnapalmとはアルミニウムセッケンの一種で,ナフテン酸アルミニウムとヤシ油混合脂肪酸アルミニウムを混合してつくったところから,ナフテン酸naphthenic acidとヤシ油脂肪酸の主成分であるパルミチン酸palmitic acidの語を合成して名付けられたものである。また,ナパームをガソリンなどに加えるとゼリー状になるが,ゼリー状になったものもナパームと呼ぶ。ナパーム弾は,ナフサネート,パーム油,ガソリン,亜鉛などのゼリー状の混合物(ナパーム)を弾体内に充てんした砲弾あるいは爆弾であり,人,家畜,建造物,陣地などを焼き払うために使用される。一般に,400~500l入りの爆弾を爆発させると,2000℃に近い高熱を出し,1発で2000~2500m2を焼き払う力がある。ナパーム弾は,第2次大戦後期,アメリカ軍が開発し,テニアン島において初めて用い,その後の比島作戦や沖縄作戦において航空機から投下して使用し,消えない炎として日本軍を苦しめた。その後,朝鮮戦争,インドシナ戦争,ベトナム戦争などでも多数使われた。
執筆者:津村 秀一郎
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