ナフトキノン

化学辞典 第2版 「ナフトキノン」の解説

ナフトキノン
ナフトキノン
naphthoquinone

naphthalenedione.C10H6O2(158.16).ナフタレン核をもつキノンであるが,1,2-,1,4-および2,6-ナフトキノンの3種類の異性体がある.

1,2-および1,4-ナフトキノンは,それぞれ1-アミノ-2-ナフトールあるいは4-アミノ-1-ナフトールを二クロム酸カリウムの希硫酸溶液で酸化すると得られる.1,2-ナフトキノンは赤色結晶分解点115~120 ℃.λmax 250,340,405 nm(log ε 4.35,3.40,3.40).エタノールベンゼンエーテルに可溶,水に不溶.濃硫酸呈色は緑色.1,4-ナフトキノンは五酸化バナジウム系触媒によるナフタレンの空気酸化によっても得られる.黄色の昇華性結晶.融点125 ℃.特異臭があり,水蒸気蒸留される.アルカリ水溶液に溶けて赤褐色を呈する.ビタミンKはその誘導体である.2,6-ナフトキノンはamphi-ナフトキノンともいわれ,2,6-ジヒドロキシナフタレンを酸化鉛(Ⅳ)で酸化すると得られる.橙色の結晶.分解点130~135 ℃.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナフトキノン」の意味・わかりやすい解説

ナフトキノン
なふときのん
naphthoquinone

ナフタレン環骨格をもつキノン。3種の異性体がある。いずれもキノン特有の色をもっている結晶である。1,4-ナフトキノンの誘導体は動物色素として天然に分布している。単にナフトキノンというと1,4-ナフトキノンをさす。ナフトキノン系染料やビタミンKも1,4-ナフトキノンの骨格をもっている。1,2-ナフトキノンは赤色の結晶で有毒である。ディーゼルエンジン排気ガスに含まれている。2,6-ナフトキノンは不安定で、溶液中ではすぐに分解する()。

[廣田 穰 2015年3月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナフトキノン」の意味・わかりやすい解説

ナフトキノン
naphthoquinone

通常は 1.4-ナフトキノンをさすが,このほかに 1.2-ナフトキノンもある。化学式 C10H6O2 。 (1) 1.4-ナフトキノン 黄色の結晶で,融点 126℃。 100℃以下で昇華する。 (2) 1.2-ナフトキノン 黄金色の結晶。分解点 145~147℃。いずれのナフトキノンも皮膚に対して刺激性がある。

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世界大百科事典(旧版)内のナフトキノンの言及

【キノン】より

…キノン類は,フェノール類,キノール類,芳香族アミン類の酸化によって容易に合成できる。代表的なものは,ベンゾキノン,ナフトキノン,フェナントレンキノン,アントラキノンなどであり,オルト位置,パラ位置が置換されたものをそれぞれオルトキノン(o‐キノン),パラキノン(p‐キノン)という。メタキノン(m‐キノン)は存在しない。…

※「ナフトキノン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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