デジタル大辞泉 「ね」の意味・読み・例文・類語
ね[終助・間助]
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1 軽い感動・詠嘆の意を表す。「いい眺めです
2 相手の同意・返答などを期待する意を表す。「君の郷里は青森でした
3 自分の考え・気持ちを主張する意を表す。「その方法はまずい
4 《上代語》動詞・動詞型活用語の未然形、禁止の「な…そ」に付いて、他に対してあつらえ望む意を表す。…てほしい。
「この岡に菜摘ます
「大き海の水底照らし沈く玉
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「あれから―、わたしを送ってやらうとって」〈滑・浮世風呂・二〉
[補説]
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( 1 )「浮世風呂」では男女とも同じように使用している。待遇的には、下位者から上位者に対して、また上層の対等のもの同士が用い、「ます」「ございます」などの丁寧語に続く例も多い。
( 2 )現代東京語では男女で接続上の違いがみられ、男性語は「ね」の前に「だ・か」がきて「そうだね」「そうかね」のように、女性語は「わ・よ」がきて「そうだわね」「そうよね」のように用いることが多い。「です」「ます」に付く「そうですね」などは男女両用。
他者の行動の実現を希望する助詞には、このほか「なも」「なむ」があるが、これらは三人称的なものの行動・状態に関するものであり、しかも実現可能度の低い場合が多いのに対して、「ね」は二人称的なものの行動の実現を願い、その実現可能度が高い。その点、命令形に近い表現と言い得る。
五十音図第5行第4段の仮名。平仮名の「ね」は「祢」の草体から、片仮名の「ネ」は「禰」の偏からできたものである。万葉仮名では「尼、泥、念、年、禰、涅(以上音仮名)、根、宿(以上訓仮名)」などが使われた。ほかに草仮名としては「(祢)」「
(年)」「
(子)」「
(念)」などがある。
音韻的には/ne/で、舌先と上歯茎との間を閉じた舌内鼻音の[n]を子音にもつ。中央語では室町時代の末ごろまで連声(れんじょう)が盛んで、これによって生じた「ね」もあった(「輪廻(リンネ)」「尊詠(ソンネイ)」……)。
[上野和昭]