デジタル大辞泉
「ね」の意味・読み・例文・類語
ね[助動]
[助動]《完了の助動詞「ぬ」の命令形》⇒ぬ[助動]
[助動]《打消しの助動詞「ぬ」の已然形》⇒ぬ[助動]
ね[感]
[感]親しみをこめて呼びかけたり、念を押したりするときに言う語。「ね、聞いて」「ね、いいよね」
ね[接尾]
[接尾]《上代語》人を表す名詞に付いて、親愛の意を表す。「いろね」「なね」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ね
- 〘 間投助詞 〙 文節の終わりに付けて、相手に念を押し、あるいは軽い感動を表わす。
- [初出の実例]「コヲおとさん、とんだけふはさむいね」(出典:洒落本・一向不通替善運(1788))
- 「いづれサ、他人の飯をたべねばネ、他の想像(おもひやり)がございませんのさ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)
- 「ぢゃ、まだ子供には何も話してないんだね?━」(出典:蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎〉四)
ねの補助注記
( 1 )「浮世風呂」では男女とも同じように使用している。待遇的には、下位者から上位者に対して、また上層の対等のもの同士が用い、「ます」「ございます」などの丁寧語に続く例も多い。
( 2 )現代東京語では男女で接続上の違いがみられ、男性語は「ね」の前に「だ・か」がきて「そうだね」「そうかね」のように、女性語は「わ・よ」がきて「そうだわね」「そうよね」のように用いることが多い。「です」「ます」に付く「そうですね」などは男女両用。
ね
- 〘 終助詞 〙 文末にあって動詞型活用の語の未然形および禁止の「な…そ」をうけ、他者の行動の実現を希望する意を表わす上代語。下に感動の「も」の添った「ねも」の形もある。→補注。
- [初出の実例]「うれたくも 鳴くなる鳥か この鳥も 打ち止(や)め こせ泥(ネ)」(出典:古事記(712)上・歌謡)
- 「石本より 成りてし人か 汝が名告らさ禰(ネ)」(出典:万葉集(8C後)五・八〇〇)
- 「今替る新防人が船出する海原の上に浪な開(さ)きそ禰(ネ)」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三三五)
ねの補助注記
他者の行動の実現を希望する助詞には、このほか「なも」「なむ」があるが、これらは三人称的なものの行動・状態に関するものであり、しかも実現可能度の低い場合が多いのに対して、「ね」は二人称的なものの行動の実現を願い、その実現可能度が高い。その点、命令形に近い表現と言い得る。
ね【ね・ネ】
- 〘 名詞 〙 五十音図の第五行第四段(ナ行エ段)に置かれ、五十音順で第二十四位のかな。いろは順では第二十位で、「つ」のあと「な」の前に位置する。現代標準語の発音では、舌の先と上の歯茎との間を閉鎖した有声通鼻音 n と母音 e との結合した音節 ne にあたる。「ね」の字形は、「禰」の略体「祢」の草体から出た。「ネ」の字形は同じく「祢」の左部分をとったものである。なお、明治時代までは、かたかなとして、「子」から出た「
」が多く用いられた。ローマ字では、ne をあてる。
ね
- 〘 感動詞 〙 親しみをこめて、呼びかけたり念を押したりする時にいう。
- [初出の実例]「何でも引立(ひったて)られねへ程の鰹が三十六文さ。ネ、おまへ。肝の潰れた話だネ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)
ね
- 〘 接尾語 〙 男女を問わず、親愛・尊敬の気持で相手を呼ぶときに用いる語。上代語「いろね」「なね」など。ただし、それぞれ「いろと(同母弟)」「なおと(汝弟)」と対をなして用いられるので、この「ね」は接尾語でなく、「え(兄)」の変化した形とも考えられる。
ね
- [ 1 ] ( 打消の助動詞「ず」の已然形 ) ⇒ず〔助動〕
- [ 2 ] ( 完了の助動詞「ぬ」の命令形 ) ⇒ぬ〔助動〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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ね
五十音図第5行第4段の仮名。平仮名の「ね」は「祢」の草体から、片仮名の「ネ」は「禰」の偏からできたものである。万葉仮名では「尼、泥、念、年、禰、涅(以上音仮名)、根、宿(以上訓仮名)」などが使われた。ほかに草仮名としては「
(祢)」「
(年)」「
(子)」「
(念)」などがある。
音韻的には/ne/で、舌先と上歯茎との間を閉じた舌内鼻音の[n]を子音にもつ。中央語では室町時代の末ごろまで連声(れんじょう)が盛んで、これによって生じた「ね」もあった(「輪廻(リンネ)」「尊詠(ソンネイ)」……)。
[上野和昭]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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