はがね(鋼)(読み)ハガネ

  • steel

化学辞典 第2版の解説

鋼(こう)ともいう.一字の場合は普通“はがね”と読む.“刃金”すなわち“刃物をつくるのに用いる金(かね)(金属)”に由来する.鍛えられた強靭な鉄の総称.一般には鉄に少量の炭素Cを含んだ合金をいう.Fe-C合金は,鉄,鋼,鋳鉄の3種類に分類される.はC量のごく少ないものでいちじるしく軟らかく,成形加工も容易であるが,焼入れしても硬化しない.Feに約0.02質量% 以上のCを加えると,C濃度の増加とともに,Fe-C系準安定平衡状態図の上では,フェライト(α鉄の固溶体)単相の組織から,パーライト(フェライトとセメンタイトFe3Cの共析組織)が混在した組織,さらにパーライトとセメンタイトの混在組織にかわる.また,C量が約2質量% を超えると,溶融状態から凝固させたときにオーステナイト(γ鉄の固溶体)とセメンタイトの共晶組織が混在するようになり,いちじるしく硬くもろく,鍛錬などの成形加工は困難となるが,融点が低下するので鋳物がつくりやすい.これは鋳鉄とよばれる.C量が約0.02~2質量% の範囲のFe-C合金は高温に加熱してオーステナイト単相の組織にすることができる.これは鍛錬によって種々の形状を与えることもでき,さらに焼なまし,焼入れ,焼戻しなどの熱処理によって,比較的軟らかく成形加工のできる状態や,いちじるしく硬い状態,さらには適度の強靭性を備えた状態など,種々の機械的性質を与えることができる.この範囲のFe-C合金をとよび,前記の鉄,鋳鉄と区別する.なお,この鋼にはCのほかに,精錬上の必要から故意に添加される0.8質量% 程度までのMnおよびSiや,精錬のときに除去しきれなかった少量のP,S,Cuなどの不純物元素も含まれるのが普通である.一方,使用目的に応じて鋼に特別な性質を与え,あるいはそれを改良するために種々の合金元素を添加したものは,とくに合金鋼とよばる.合金元素の種類によって,クロム鋼,ニッケルクロムモリブデン鋼のようによばれる.これらに対して特別な合金元素を添加しない鋼を炭素鋼とよぶ.また普通鋼,特殊鋼という分類名称もしばしば用いられる.さらに,用途によって構造用鋼,ばね鋼,軸受鋼,工具鋼ステンレス鋼耐熱鋼など種々の名称のものがあり,それぞれに要求される性質に応じて合金元素の種類および添加量が適宜選択され,鋼の種類はきわめて多い.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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