改訂新版 世界大百科事典 「ハシジロキツツキ」の意味・わかりやすい解説
ハシジロキツツキ (嘴白啄木鳥)
ivory-billed woodpecker
Campephilus principalis
キツツキ目キツツキ科の鳥。全長約50cm,黒色と白色の羽色の大型なキツツキ。雄の頭頂部には赤い大きな冠羽があるが,雌では黒い。くちばしは大きく太く象牙色をしている。川沿いの広大な落葉広葉樹の原生林に単独かつがいですむ。キツツキ類の中で,樹幹をよじ登ることがもっともうまく,強力なくちばしで大きな樹皮片をはぎとり,大型の甲虫類の幼虫をとる。球果や果実も食べる。繁殖期には,高木の枯れた幹に巣穴を掘り,1腹3~4個の卵を産む。かつては,北アメリカ南東部とキューバに分布していたが,北アメリカではすでに1939年に推定生息数がわずか22羽にすぎなかった。現在では,テキサス州東部に少数が生息しているといわれているが,しっかりした情報はなく,キューバのものを含めておそらく絶滅したものと思われている。絶滅のおもな原因は森林の伐採であり,メキシコのメキシコハシジロキツツキC.imperialis,南アメリカのマゼランハシジロキツツキC.magellanicusも絶滅の危機にある。
執筆者:齋藤 隆史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報