ハステロイ

デジタル大辞泉 「ハステロイ」の意味・読み・例文・類語

ハステロイ(Hastelloy)

クロム・モリブデン・鉄・コバルトなどを含むニッケル合金の商標名。耐熱性耐食性が高く、ジェットエンジン・ガスタービン・ダイヤフラムなどに用いられる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ハステロイ」の解説

ハステロイ
ハステロイ
Hastelloy

Ni-Mo系を主成分とする一群ニッケル合金の商品名.すぐれた耐塩酸合金として,また耐熱合金としても重要である.合金成分によりB,C,D,F,Xなどの種類がある.BはMo 28質量%,Fe 5質量% を含み,沸点までの全濃度の塩酸のほか,塩化水素ガス,硫酸などに強いが硝酸には侵される.耐熱性もすぐれ,酸化性雰囲気ではMoが酸化蒸発するため,760 ℃ 以下に限定されるが,還元性雰囲気ではさらに高温まで使用できる.CはBの欠点を改良するためMo量の約半分をCrで置換したもので,1090 ℃ までの酸化性,還元性雰囲気に耐え,高応力や熱衝撃にも強い耐熱合金として,また塩化鉄(Ⅲ)や湿った塩素ガス次亜塩素酸塩にも強い耐食合金としても重要である.DはSi 9質量%,Cu 3質量% を含む耐硫酸合金,FはCr 22質量%,Mo 6.5質量%,Fe 16質量% を含み点食,応力腐食割れに強い.XはCr 22質量%,Mo 9質量%,Fe 18.5質量% を含み,耐酸化性と高温強さにすぐれ,たとえば,ジェットエンジン燃焼室内筒に使われる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「ハステロイ」の意味・わかりやすい解説

ハステロイ

ニッケル主体とする耐酸・耐熱合金。組成は種々だが,代表的なハステロイBではモリブデン約30%,約5%を含む。塩酸硫酸などに耐え,ポンプ,バルブその他の化学装置に使用。
→関連項目耐食合金ニッケル合金

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ハステロイ」の意味・わかりやすい解説

ハステロイ
Hastelloy

ニッケル基合金の一つで,耐食性が著しく優れている。代表的な合金にハステロイBがあり,モリブデン約30%,鉄約5%を含む。非酸化性の酸,とくに塩酸には沸点まで全濃度で耐え,塩化水素ガスや還元性溶液にも耐える。硝酸や塩素などの酸化性雰囲気での耐食性を改善したものに,クロムを添加したハステロイCがある。そのほか硫酸やリン酸,フッ素イオンなどに耐食性をもつハステロイの名を冠した改良合金が数種ある。一般に加工性と溶接性がよく,種々の形状に加工されて,化学工業などで使用されている。なお,ハステロイXは優れた耐酸化性をもつ耐熱合金である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハステロイ」の意味・わかりやすい解説

ハステロイ
はすてろい
Hastelloy

超耐熱合金。組成はクロム15~25%、モリブデン8~17%、タングステン0.2~4.5%、鉄4~20%、残りニッケル。アメリカのHaynes Stellite Co.の発明特許にかかる。モリブデン26~30%、コバルト2.5%、クロム1%を主成分とする合金(ハステロイB)は耐塩酸合金でもある。

須藤 一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android