腐食環境中での使用に耐える合金材料。耐食合金であるか否かの判定のための規準としては、侵食度が0.05ミリメートル/年以下のものを完全耐食、0.05~1.00ミリメートル/年のものを耐食性あり、1.00ミリメートル/年以上のものを耐食性なしとすることが多く、完全耐食または耐食性ありの部類に入るものが耐食合金とよばれている。耐食合金としては鉄合金、ニッケル合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金などがある。
[杉本克久]
クロムを12%以上含む鉄‐クロムおよび鉄‐クロム‐ニッケル合金はステンレス鋼とよばれ、耐食合金のなかでもっとも使用量が多い。そのほか、低合金耐食鋼として大気腐食抵抗性の大きい耐候性鋼、海水飛沫(ひまつ)帯で優れた耐食性を示す耐海水鋼、燃焼ガス中の硫黄(いおう)に起因する硫酸露点腐食に強い耐露点腐食鋼などがある。また、耐酸鋳鉄として、ケイ素を15%含むデュリロン、ニッケルを15~30%含むニレジストなども使われている。
[杉本克久]
還元性酸およびアルカリ中における耐食性が大きいこと、塩化物応力腐食割れに対して強いことなどが特色である。ニッケル‐銅合金のモネル、ニッケル‐クロム‐鉄合金のインコネル、ニッケル‐モリブデン合金のハステロイなどが有名である。
[杉本克久]
大気や天然水に対する耐食性に優れ、さらに流動海水にもよく耐えることが特色である。銅‐亜鉛‐アルミニウム合金のアルミニウム黄銅、銅‐ニッケル合金のキュプロニッケル、銅‐スズ合金のスズ青銅、銅‐アルミニウム合金のアルミニウム青銅などがよく知られている。
[杉本克久]
中性の水溶液に対しては良好な耐食性を示すが、酸およびアルカリに対する耐食性は乏しい。アルミニウム‐マグネシウム合金、アルミニウム‐マンガン合金などが耐食合金として知られ、これらは海水に対しても良好な耐食性をもっている。
[杉本克久]
純チタンでも多くの酸や塩化物によく耐えるが、さらに還元性酸に対する耐食性を高めたチタン‐モリブデン合金、自己不動態化性を高めたチタン‐パラジウム合金、高温高濃度硝酸中での耐食性を高めたチタン‐タンタル合金などがある。
[杉本克久]
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