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耐食合金 たいしょくごうきんcorrosion-resistant alloy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

耐食合金
たいしょくごうきん
corrosion-resistant alloy

通電やメッキなど特別の措置なしで耐食性を発揮しうる合金。対自然現象,対薬品,原子炉材などに利用される。広く実用化されている耐食合金には,鉄と 12%以上のクロムとの合金であるステンレス鋼および銅合金アルミニウム合金,工業用純チタンなどがある。これらの構成元素 (Cr,Al,Ti) は,貴金属と呼ばれる金や白金のように,一般に腐食しない (熱力学的に安定である) ものとは本質的に異なる。すなわち,裸金属の状態ではむしろ高い活性を示す (腐食しやすい) が,それゆえに環境中の水分とよく反応して下地保護性にすぐれる表面皮膜 (不動態皮膜など) を形成し,以後の腐食速度を低く保つ型のものである。これら表面皮膜の環境条件 (酸化性,pH,Cl- など各種化学種,温度など) ,材料への負荷応力に対する応答安定性は合金ごとに異なるので,その耐食性は金属・合金のみの属性ではなく環境条件に強く依存する。適材を適所に使う材料選定が重要である。

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百科事典マイペディアの解説

耐食合金【たいしょくごうきん】

海水や酸・アルカリなど腐食性環境での使用に耐える合金。船用などでは銅合金を使うが,化学工業用など高度の耐食性を要するときはステンレス鋼や,モネルメタルハステロイなどのニッケル合金および鉛合金の硬鉛チタン合金などを使用。
→関連項目防食

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世界大百科事典 第2版の解説

たいしょくごうきん【耐食合金 corrosion‐resistant alloy】

腐食性環境のもとで使用に耐える合金で,鉄系合金,ニッケル系合金,銅系合金,アルミニウム系合金,その他がある。腐食という現象は材料と環境との相互作用であるので,環境条件が指定されて初めて適切な耐食合金の選択が可能になる。ある環境で耐食的であっても別の環境では耐食性を失うことはよくあることで,耐食合金も使い方には注意が必要である。一般には耐食性の目安を1年に0.1mm以下の平均侵食率としている。現実には全面腐食よりも孔食,すきま腐食,液線腐食,応力腐食割れ,腐食疲労といった局部腐食が問題となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

耐食合金
たいしょくごうきん
corrosion-resistant alloy

腐食環境中での使用に耐える合金材料。耐食合金であるか否かの判定のための規準としては、侵食度が0.05ミリメートル/年以下のものを完全耐食、0.05~1.00ミリメートル/年のものを耐食性あり、1.00ミリメートル/年以上のものを耐食性なしとすることが多く、完全耐食または耐食性ありの部類に入るものが耐食合金とよばれている。耐食合金としては鉄合金、ニッケル合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金などがある。[杉本克久]

鉄合金

クロムを12%以上含む鉄‐クロムおよび鉄‐クロム‐ニッケル合金はステンレス鋼とよばれ、耐食合金のなかでもっとも使用量が多い。そのほか、低合金耐食鋼として大気腐食抵抗性の大きい耐候性鋼、海水飛沫(ひまつ)帯で優れた耐食性を示す耐海水鋼、燃焼ガス中の硫黄(いおう)に起因する硫酸露点腐食に強い耐露点腐食鋼などがある。また、耐酸鋳鉄として、ケイ素を15%含むデュリロン、ニッケルを15~30%含むニレジストなども使われている。[杉本克久]

ニッケル合金

還元性酸およびアルカリ中における耐食性が大きいこと、塩化物応力腐食割れに対して強いことなどが特色である。ニッケル‐銅合金のモネル、ニッケル‐クロム‐鉄合金のインコネル、ニッケル‐モリブデン合金のハステロイなどが有名である。[杉本克久]

銅合金

大気や天然水に対する耐食性に優れ、さらに流動海水にもよく耐えることが特色である。銅‐亜鉛‐アルミニウム合金のアルミニウム黄銅、銅‐ニッケル合金のキュプロニッケル、銅‐スズ合金のスズ青銅、銅‐アルミニウム合金のアルミニウム青銅などがよく知られている。[杉本克久]

アルミニウム合金

中性の水溶液に対しては良好な耐食性を示すが、酸およびアルカリに対する耐食性は乏しい。アルミニウム‐マグネシウム合金、アルミニウム‐マンガン合金などが耐食合金として知られ、これらは海水に対しても良好な耐食性をもっている。[杉本克久]

チタン合金

純チタンでも多くの酸や塩化物によく耐えるが、さらに還元性酸に対する耐食性を高めたチタン‐モリブデン合金、自己不動態化性を高めたチタン‐パラジウム合金、高温高濃度硝酸中での耐食性を高めたチタン‐タンタル合金などがある。[杉本克久]

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