ハッカ油(読み)はっかゆ(その他表記)mint oil

改訂新版 世界大百科事典 「ハッカ油」の意味・わかりやすい解説

ハッカ(薄荷)油 (はっかゆ)
mint oil

シソ科の多年草であるハッカ属の葉茎を乾燥し,これに含有される精油(収率約1%)を水蒸気蒸留で分離し(取卸油),4℃以下に冷却したときに生ずる,遊離メントールを主体とした白色結晶(ハッカ脳)を除いて精製した淡黄色の液体。脱脳油ともいう。原料とするハッカはその種類が多く,原料種によって主成分にも大きな違いがあるため,異なる名称で呼ばれることが多い。

 ニホンハッカを含む東洋種(M.arvensis)は精油にメントール含量が多く,主成分は,l-メントール(70~90%),メントン(21%),ピネン,カンフェン,メンテノン,リモネンセスキテルペンなどで,狭義にハッカ油というときはこれを指す。西洋種であるペパーミントセイヨウハッカ)の精油はペパーミント油と呼ばれ,メントール成分が50~60%と少なく,ハッカ脳を採取せず,取卸油(収率0.3~1%)自体をハッカ油としているが,芳香に富み良質である。北アメリカ,ヨーロッパに産するスペアミントミドリハッカ)から採取されるスペアミント油の主成分は,l-カルボン(55%)であって,メントールは含まない。また,スペイン,北アメリカに産するペニローヤルミントを原料とするペニローヤル油は,d-プレゴン(85~90%)を主成分とするのが特徴である。ハッカ油は,清涼飲料歯磨き菓子等の香料,医薬品用に広く用いられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハッカ油」の意味・わかりやすい解説

はっか油
はっかゆ
pappermint oil

精油の一つ。ペパーミント油ともいう。北海道産ハッカ、ブラジル産ハッカの全草の水蒸気蒸留で1.3~1.6%の収油率で取卸油(とりおろしゆ)(はっか脳)が得られる。これを冷却するとl‐メントールが採脳率40~50%で結晶として得られる。採脳後の油をはっか脱脳油(はっか油)といい、これを精製したものを、はっか白油(はくゆ)という。はっか油はl‐メントールの供給源として重要であり、歯みがきガム、菓子などに使用される。和種ハッカはl‐メントールの含有率がとくに高いが、洋種ハッカに比べて香味の点では劣っている。

[佐藤菊正]

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百科事典マイペディア 「ハッカ油」の意味・わかりやすい解説

ハッカ(薄荷)油【はっかゆ】

ハッカの乾草を水蒸気蒸留して得られる精油。無色〜淡黄色の透明な油液で,特異な芳香と清涼味がある。主成分はメントール。芳香性健胃・駆風剤として胃痛,下痢,嘔吐(おうと)などに内服。そのほか矯味矯臭剤として歯磨き,菓子,リキュールなどに用いる。
→関連項目精油ハッカ(薄荷)

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栄養・生化学辞典 「ハッカ油」の解説

はっか油

 シソ目シソ科ハッカ属の,ハッカソウ(Mentha属の雑種)の乾燥した植物体を水蒸気蒸留した精油.精製して香料などに用いる.用途は広い.

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