日本大百科全書(ニッポニカ) 「バイオリズム」の意味・わかりやすい解説
バイオリズム
ばいおりずむ
biorhythm
生物体内に生じる一定の周期をもった変化を総称してバイオリズムという。このうち、おおむね24時間を一周期として生じるものを概日(がいじつ)リズム(サーカディアンリズムcircadian rhythm)とよび、とくに動物行動を探る研究分野においては重要とされる。概日リズムより短い周期を示すもの(心臓の拍動など)をウルトラディアンリズムultradian rhythm、概日リズムより長い周期を示すもの(月経周期など)をインフラディアンリズムinfradian rhythmとよぶ。
人間の場合、心臓の拍動一拍一拍のリズムは約1秒前後の周期を示すが、睡眠などでは1日を単位として考えられる。また、その睡眠時間においても深い眠りと浅い眠りがあるし、生後まもなくは一日中寝ているが、成長に伴って睡眠時間は短くなり、成人では6~8時間に短縮される。人間では時計を見ながら行動を調節し、社会生活に適応していくが、動物の場合でも時間の長さを調節するものが体内にあるとする考えがあり、これを体内時計とか生物時計とよんでいる。人間の場合は、たとえば個人によって心臓の拍動数や睡眠時間が異なるように、その生体リズムは画一的ではない。しかし、その人にあった生体リズムをうまく生活に適合させることは、エネルギー代謝などの生理調節機構を順調に働かせ、健康を管理するうえではたいせつなこととなる。飛行機などで時差のある国へ旅行したとき、その場所の日照時間や生活時間に順応できず、体調を崩すのは、生体リズムが乱れたためである。また、昆虫や動物を使った実験では、光が目や視床を通して神経系へ深くかかわり、個体を維持するリズムだけでなく生殖のリズムにも影響を与えることが知られている。
[小野三嗣]