バナッハ(英語表記)Stefan Banach

デジタル大辞泉 「バナッハ」の意味・読み・例文・類語

バナッハ(Stefan Banach)

[1892~1945]ポーランド数学者関数解析学創始者一人で、バナッハ空間とよばれる抽象的な線形空間定義した。著「線形作用素論」など。バーナハ。

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精選版 日本国語大辞典 「バナッハ」の意味・読み・例文・類語

バナッハ

  1. ( Stefan Banach ステファン━ ) ポーランドの数学者。関数解析学の創始者の一人で、バナッハ空間とよばれる抽象的な線形空間を定義。著「線形作用素論」など。(一八九二‐一九四五

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改訂新版 世界大百科事典 「バナッハ」の意味・わかりやすい解説

バナッハ
Stefan Banach
生没年:1892-1945

ポーランドの数学者。クラクフに生まれルブフ(現,ウクライナリボフ)に没す。幼時に貧しい婦人の家に里子に出されたが,15歳のころには算数などを私的に教え生活していたという。1910年,中学卒業後ルブフ工業専門学校に学んだが卒業はしなかった。14年クラクフに帰り,16年スタインハウスH.Steinhausに会ってから数学研究に没頭。22年に学位論文《抽象集合の上の作用素とその積分方程式への応用》を雑誌《Fundamenta Mathematica》第3巻に発表。27年ルブフ大学教授,39年ポーランド科学アカデミーから大賞を受ける。1924年科学アカデミー通信会員,41年ウクライナ科学アカデミー会員となる。関数解析学の創造者としてバナッハは今世紀最高の数学者の一人と目されている。彼はスタインハウスといっしょに,主として関数解析にささげられた雑誌《Studia Mathematica》を創刊した。彼の導入したバナッハ空間は,ベクトル空間Bで,そのベクトルxyの距離dis(xy)によって完備な線形距離空間になるものとして定義される。この完備性によって,BからBへの線形作用素Tの連続性がTグラフの閉性と一致することが彼の理論基礎になっている。主著《線形作用素論》(1932)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バナッハ」の意味・わかりやすい解説

バナッハ
ばなっは
Stefan Banach
(1892―1945)

ポーランドの数学者。関数解析学の創始者の一人。当時オーストリア領であったクラクフに生まれる。1910年クラクフの中学校を終え、1914年までリボフ(現、ウクライナのリビウ)の工科大学で勉強したが、第一次世界大戦の勃発(ぼっぱつ)によりクラクフに戻り、数学の研究を続けた。1920年リボフ大学の助手となり、ここで学位論文をまとめた。これが今日の「バナッハ空間」を定義し、その性質を調べた論文である。修士論文は書いていなかったが、特別な計らいで博士の学位を与えられ、1924年にはポーランド科学アカデミーの通信会員となった。1929年にはスタインハウスHugo Steinhaus(1887―1972)と協力して関数解析の専門誌『Studia Mathematica』を創刊、これは今日では国際的な雑誌の一つになっている。

 バナッハ空間とその上の線形作用素の研究だけでなく、三角級数論、直交関数論、測度論、実関数論に多くの重要な仕事を行い、なかでもハーン‐バナッハの定理やバナッハ‐スタインハウスの定理は、関数解析でももっとも重要かつ基本的な結果になっている。『線形作用素論』Théorie des opérations linéaires(1932)は関数解析についての世界最初のまとまった著作である。

[井関清志]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バナッハ」の意味・わかりやすい解説

バナッハ
Banach, Stefan

[生]1892.3.30. クラクフ
[没]1945.8.31. ルボフ
ポーランドの数学者。 1922年ルボフ大学講師となり,27年教授に就任。バナッハ空間を創始し,関数解析を現代的な形で展開した。また,位相空間理論の発展に寄与した。主著『線型作用の理論』 Théorie des opérations linéaires (1932) 。

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