バビット(英語表記)Babbitt, Milton

デジタル大辞泉 「バビット」の意味・読み・例文・類語

バビット(Irving Babbitt)

[1865~1933]米国の批評家ルソー流の自然主義ロマン主義に反対し、古典的精神の復活を主張。著「新ラオコーン」「ルソーとロマン主義」など。
[補説]書名別項。→バビット

バビット(Babbitt)

ルイスの小説。1922年刊。ビジネス万能時代の俗物的な実業家の姿を描く。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バビット」の意味・わかりやすい解説

バビット
Babbitt, Milton

[生]1916.5.10. ペンシルバニア,フィラデルフィア
[没]2011.1.29. ニュージャージー,プリンストン
アメリカ合衆国の作曲家,音楽理論家。フルネーム Milton Byron Babbitt。楽曲の難解さで知られ,12音技法(→12音音楽)と同じくオクターブ内の全 12音を均等に使うだけでなく,音の強弱,音価,音色,音域などを音列技法に基づいて決める作曲技法トータル・セリエリズム(総音列主義)の主唱者。ニューヨーク大学に通いながら,作曲家ロジャー・セッションズに師事した。作曲のあらゆる要素を厳密に制御しようと試みた『シンセサイザのためのコンポジション』(1961),シンセサイザに生と録音ずみのソプラノを重ねた『フィロメル』(1964)のほか,ピアノや弦楽器など通常の楽器を使う作品も手がけた。後期の作品でもセリー技法を用い続け,室内楽から独奏曲,交響曲までさまざまな編成の作品を残した。1938~84年プリンストン大学で教鞭をとる一方,1973年にジュリアード音楽院教授に就任。1965年全米芸術文化協会会員。1982年生涯の作曲活動が評価され,ピュリッツァー賞を受賞した。

バビット
Babbitt, Irving

[生]1865.8.2. オハイオ,デートン
[没]1933.7.15. マサチューセッツ,ケンブリッジ
アメリカ批評家。ハーバード大学卒業後,パリ大学に学び,1894年以後ハーバードでフランス文学と比較文学を講じた。 1920年代アメリカに興った新ヒューマニズム運動の中心的人物で,ルソー流のロマン主義を攻撃し,倫理性と古典的伝統を説いた。主著『文学とアメリカの大学』 Literature and the American College (1908) ,『新ラオコーン』 The New Laokoön (10) ,『ルソーとロマン主義』 Rousseau and Romanticism (19) ,『民主主義リーダーシップ』 Democracy and Leadership (24) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バビット」の意味・わかりやすい解説

バビット
ばびっと
Irving Babbitt
(1865―1933)

アメリカの批評家。ハーバード大学教授としてP・E・モア新人文主義ニュー・ヒューマニズム)を唱導し、T・S・エリオットに大きな影響を与えた。人文主義を古典的伝統に基づく倫理性の追求と規定し人道主義と峻別(しゅんべつ)、実利主義を生んだベーコンと漠然たる憧憬(しょうけい)のみを助長したルソーが混乱した精神状況の元凶であると主張した。『ルソーとロマン主義』(1919)が代表作。ほかに『新ラオコーン』(1910)など。

[森 常治 2015年10月20日]

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改訂新版 世界大百科事典 「バビット」の意味・わかりやすい解説

バビット
Milton Babbitt
生没年:1916-

アメリカ合衆国の作曲家。初め数学者を目ざしペンシルベニア大学に学ぶが,途中ニューヨーク大学に移り音楽を学ぶ。R.セッションズらに師事し,シェーンベルクの十二音音楽の影響を強く受ける。第2次世界大戦中より進められた十二音音楽の体系化の試みは,戦後集合論的な考え方に基づいた彼独自の〈全面的セリー〉の方法による《四つの楽器のためのコンポジション》(1948)等として結実した。1950年代中ごろよりシンセサイザーのための作品を作る一方,抒情的な作品,ジャズ的要素を用いた作品もある。なお,早くから評論活動を行っており,《新音楽展望》誌の編集にかかわっている。理論的著作も多い。
執筆者:


バビット
Irving Babbitt
生没年:1865-1933

アメリカの批評家。ハーバード大学のロマンス語,フランス文学の教授として,1920年代の倫理的批評〈ニュー・ヒューマニズム〉の指導的位置にあり,T.S.エリオットの一面の師でもある。主著《ルソーとロマンティシズム》(1919)で,ルソー的な近代ロマン主義を,放恣で反逆的な主情主義として徹底的に攻撃し,古典主義の均整を基準とする批評,人間の内的抑制,訓練を重んじた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のバビットの言及

【ルイス】より

…そしてベストセラー作家というレッテルが彼に劣等感を与えた。《本町通り》では理想家肌の若妻により中西部田舎町の因襲が批判され,《バビット》(1922)では,中西部の商業都市ジーニスに住む俗物実業家が因襲にささやかな反抗を試みるが,結局服従する姿を戯画として描いた。研究所の資本主義体制と闘う良心的で研究熱心な科学者を描いた《アロースミス》(1925)は,ある科学者との共同調査に基づいた作品で,少なくとも主人公は戯画の対象にされていない。…

【ハンガリー】より

…【家田 修】。。…

※「バビット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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