インドネシア東部,バンダ海にある六つの小島からなる。総面積44km2,人口約1万5000。行政の中心はバンダ・ネイラ島にある。ナツメグ諸島の異名が示すように,ナツメグ(ニクズク)の特産地として古くから知られた。ポルトガルのゴア副王アルブケルケは1511年にマラッカを占領し,翌年この諸島に到達して香辛料の買付けを行ったが,以後ポルトガルとスペインの香料貿易争奪は主としてモルッカ諸島北部に集中し,バンダ諸島は16世紀のあいだほとんど放置された。16世紀のバンダ諸島の人口は1万5000人と推定される。99年にオランダ船が初めて訪れ,同じころイギリス船も現れて勢力争いが始まり,1621年2月,みずから艦隊を率いてバンダ諸島に赴いたオランダ東インド総督クーンは島を次々に占領し,住民を強制移住または全滅させた後,オランダ人を入植させてニクズクを栽培させた。そして収穫を一定価格で会社が買い取る制度が1864年まで続いた。
執筆者:永積 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報