イギリスの実験物理学者。1895年リバプール大学に入り、O・ロッジに実験物理学を学ぶ。同大学を卒業後さらにケンブリッジのトリニティ・カレッジに学び、キャベンディッシュ研究所のJ・J・トムソンのもとで研究を始めた。1902年リバプール大学に戻り、1909年からロンドン大学教授、1913年から死ぬまでエジンバラ大学教授を務めた。ごく初期を除き、X線に関する研究に取り組み、J・J・トムソンの理論に対応する実験成果を次々とあげて、原子の構造の解明に寄与した。すなわち、X線の偏光の発見、X線にさらされた物質からの二次X線に散乱X線と特性X線の2種あることの発見、特性X線のK、L系列の発見、散乱X線の分布測定による原子内電子数の推定などである。特性X線の発見の功で1917年にノーベル物理学賞を受賞したが、その記念講演で述べたJ系列については、その存在が否定されている。
[川合葉子]
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