改訂新版 世界大百科事典 「パリティ指数」の意味・わかりやすい解説
パリティ指数 (パリティしすう)
parity index
関連するいろいろな現象があるとき,その相関関係を基準時とある時点について比べた場合,基準時のつり合い(パリティ)をある時点においても保つようにするための指数。価格について算出することが多いので,特殊な物価指数といえる。
日本においては,第2次大戦後の1946年から米の生産者価格,52年から麦の生産者価格の算出にパリティ指数が用いられたので,パリティ指数というと,この農業パリティ指数のことを指すことが多い。農業パリティ指数は,たとえば麦についていうと,麦の生産に必要な肥料,農業機械や農家の購入した消費財などの価格が,基準時に比べてどのくらい変化したかを表す。そしてこの指数が10%上昇したら,麦価も10%増に決めようとするものである。これは価格の変動について保障する価格パリティ方式であって,農家の所得についていえば,たとえば都市サラリーマン家計の所得とのパリティを保障するものではない。所得についてのパリティを保障するような指数を所得パリティ指数という。
米価については1960年産米から生産費・所得補償方式が採用され,麦価についても88年からパリティ指数は廃止され,生産費に基づく方式が採用された。そのほか大豆,ナタネ,テンサイなどの行政価格を決定する際,その資料のひとつとして農業パリティ指数は用いられる。農業パリティ指数は1933年大恐慌下のアメリカにおいて農家の収入を維持する目的で行われた。
執筆者:黒田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報